ソニーの「SRS-ZR7」は、マルチソース対応のワイヤレススピーカーです。単体のスピーカーとしても高いポテンシャルを持っていますが、注目したいのは、「SongPal Link」による複数機器のワイヤレス接続機能です。
具体的には、2台のSRS-ZR7を接続する「ワイヤレスステレオ」。そしてホームシアターシステム「HT-NT5」と組み合わせる「ワイヤレスサラウンド」や、学校放送のように複数のスピーカーで同じ音楽を鳴らす「ワイヤレスマルチルーム」といった機能です。これは先行して発売された「h.ear go(SRS-HG1)」にも搭載されている機能で、以降のモデルにも展開される可能性は高そうです。
SRS-ZR7のソニーストアでの価格は4万3070円。少々お高いですが、ワイヤレスオーディオの未来をうかがう上で、興味深い存在です。SongPal Link対応の最新機種ということで、2台のSRS-ZR7をお借りして、ワイヤレスステレオを試してみました。
オーディオソース千客万来
まず、ざっと外観を見ながら機能をさらっていきましょう。主な操作系は天面のパネルにあり、電源スイッチはメカニカル式で、音量とファンクションボタンはタッチセンサー式。パネルは以前のように指紋やホコリが目立ちやすいツルツルのアクリルではなく、さらっとしたマット仕上げ。
スピーカーユニットは、45mm口径のサテライトスピーカーと、62mm口径のサブウーファーのステレオペアで、計4発。それぞれのユニットを23Wの独立したアンプで駆動する2.2ch仕様。最大出力は合計92W。背面には低域を増強する長方形の大型パッシブラジエーターがマウントされています。
大出力を支える関係からか、SRS-ZR7の電源はACアダプターのみで、バッテリーは内蔵しません。モバイル用途や家の中で頻繁に置き場所を変えたい方には、バッテリー内蔵のh.ear goをどうぞ。
機能面では、ワイヤレス時代のアクティブスピーカーとしてはフルスペックに近いものです。それは扱えるソースで一目瞭然。まず背面にずらっと並ぶ端子群は、音声信号やデータの入力に関わるものだけで5つあります。
- USB A端子-USBメモリーと、ウォークマンやiPhoneなどiOS機器との接続用。接続中は充電も可。
- USB B端子-PCや、ハイレゾ対応のウォークマンとXperiaとの接続用。
- HDMI端子-ARC(オーディオリターンチャンネル)対応テレビとの接続用。当然ながら音声のみを再生。
- LAN端子-ネットワークオーディオ用。Wi-Fiが不安定な場合や、確実ネットワークと接続したい場合に使用。
- 外部入力端子(3.5mmステレオミニ)-アナログの音声入力。入力信号は96kHz/24bitにデジタル化して再生。
これにワイヤレスのソースが加わります。まずBluetoothはSBC、AAC、そしてハイレゾ対応のLDACと、3つのオーディオコーデックに対応。再生装置がLDAC対応のウォークマンやXperiaなら、96kHz/24bitまでの音源を「ハイレゾ相当」で再生できます。
Wi-Fiは高速な5GHzのIEEE 802.11a/nに初対応。DLNA対応のネットワークオーディオレシーバーとして、最大192kHz/24bitのWAV、AIFF、FLAC、ALACの音源に対応。再生時にPCM変換はかかるものの、2.8/5.6MHzのDSDも再生できます。Google Castに対応するので、Google Play MusicやAWAに毎月お金を払っている方々にもおすすめです。
これでテレビ、スマートフォン/タブレット、パソコン、ウォークマン、USBメモリー、アナログ出力を持つ一般的なオーディオ機器と、家庭内のほとんどのオーディオソース、および一部の音楽配信サービスをカバーしてしまうわけです。