インドでナンバー1シェアの地場メーカーは、グーのような「m!」マークのロゴが印象的な「Micromax」 という企業である。
6月1日に香港で、同社のトップの1人であるVikas Jain氏が、同社のグローバル化のひとつとして、来年中国市場に進出したいと語った。
しかし、そもそもとしてMicromaxを聞いたこともない人が多いのではないかと思う。そこで筆者が最近購入したMicromaxのスマートフォンも参考に、紹介していきたいと思う。
インド向けサービスを充実させたMicromax
Micromaxは最近の調査会社のガートナーのレポートによれば、四半期ベースでスマートフォンを含む携帯電話の売り上げが世界でベスト10に入るメーカーである。
四半期での出荷台数は、2015年第3四半期の4ヵ月で1216万台で、世界シェアは2.5%。2014年第3四半期では564万台でシェアは1.2%だったので、ずいぶん伸びたことになる。
インドは、前年比でスマートフォンの伸びが最も目立つ国であり、同時にいまだフィーチャーフォンが現役の国である。
個人商店でもテレビショッピングでも、フィーチャーフォンが第一線で売られている。ガートナーの統計データは、あくまで「スマートフォン・フィーチャーフォンの合算」である。Micromaxはフィーチャーフォンもリリースしており、フィーチャーフォンの販売台数も含めて世界的シェアを得ていることに注意されたい。
インドの街を歩いていても、スマートフォンは中国や東南アジア諸国と比べれば普及していない。彼らは自撮りをしてはオフラインで確認し、人によってはFacebookにアップロードする程度で、スマートフォンが必要とされているという風潮ではまだない。
ショッピングモールは建てられているが、多くの場所で公衆無線LANが開放されていない。
インドの地場メーカーは、Micromaxだけではない。ほかにも「Spice」「Karbonn」「iball」「lvf(Reliance)」などのメーカーがある。
このうちMicromaxとSpiceとKarbonnからは、グーグルの新興国向け低価格プラットフォームである「Android One」端末がリリースされた(Micromax Canvas A1、Karbonn Sparkle V、Spice Dream UNO)。
その中でもなぜMicromaxが売れたかというと、露出を増やしたからというのがまずは考えられる。スペックや細かな製品のクオリティーはさておき、店舗内や外の看板などで認知されれば「聞いたことがあるメーカー」ということで、シェアが高まるというわけだ。
これはインドに限らず、過去の中国もそうで、街中で目立てば、一定のシェアがとれるという時期はあった。つまりMicromaxのスマホなりケータイはインドの多くのショップで販売されているのである。
「なぜMicromaxはインド地場ナンバー1メーカーとなれたのか」というのは、インド人の間でもネットで論議されている。その理由は、前述の露出(マーケティング)のほかにも、お買い得だという点を挙げている。
中国でも、サムスンやソニーより安い小米(シャオミ)が人気になったように、インドでも外資メーカーよりは安いMicromaxが人気となる。
スマートフォンが普及しだした現状、スペックシートでCPUのクロック数やコア数は消費者の判断材料になっても、それがSnapdragonなのかMediaTekなのかは気にしている人は少なく、Mediatekを採用しているから安いということを知らない人がコストパフォーマンスで注目する。
そこに「インド向けサービスが手の届くところにある」のと「インドメーカー」という愛国スパイスが加わって、人気になっているのではないかと言われている。
ちなみに、中国メーカーもインドに進出し、積極的にPRしているが、インド人は中国製品を見下すきらいがあり、今のところ買おうとしない。
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