IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 5月16日~5月22日分
国内ソフトウェア市場は4%台で成長継続、大学新入生はほぼ全員LINE、ほか
2016年05月24日 07時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、調査会社などが先週1週間に発表したIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてざっくりお伝えしています。
■[市場]2015年の国内ソフトウェア市場は前年比+4.0%増(5/17、IDC Japan)
・SaaSやPaaSの利用拡大がソフトウェア市場の拡大を牽引
・セルフサービス型BI/アナリティクス、コグニティブシステムの高成長を予測
・2015~2020年の予測年平均成長率は+4.2%、引き続き伸びが期待できる
SaaSやPaaSの利用が増えても、ビジネスモデルが変化しただけでソフトウェア市場自体は拡大の方向にある。販売側では新しいビジネスモデルへの対応が必須とIDC。

国内ソフトウェア市場予測、2015年~2020年
■[市場]技術別の国内IoT市場予測(5/18、IDC Japan)
・国内IoT市場規模、2015年の支出額は約6.2兆円、2020年は約13.8兆円と予測
・技術別に分類すると、現状は「ハードウェア」「コネクティビティ」中心
・将来的には「ソフトウェア」「サービス」の割合増加、2020年には約6割へ
IoT市場を、ハードウェア/コネクティビティ/ソフトウェア/サービスの4技術領域に分類し予測を集計。これまでの、たとえば産業機械の稼働状況監視のような単純なユースケースから、アナリティクスを駆使した高度なユースケースへと移行し、IoTクラウドプラットフォームの活用も増えることで、ソフトウェア/サービスの比率が高まるとしている。

国内IoT市場、主要ユースケース向け支出額(技術グループ別割合推移、2015年~2020年)
■[技術]ストレージパフォーマンスがビジネスに与える影響(5/18、Nimble Storage)
・ビジネスユーザーの40%以上「動作が遅すぎるので使わないアプリがある」
・問題のある事例を分析すると、54%はストレージ“以外”に原因があった
・若い世代になるほど、アプリケーションパフォーマンスに厳しい基準を持つ
フラッシュストレージベンダーによるIT担当者と企業内ユーザーへのグローバル調査。アプリケーションへのデータ提供パフォーマンスが悪い原因は、必ずしもストレージにあるわけではなく、インフラスタック全体できちんと原因を追及すべきと指摘。
■[ユーザー動向]モバイルファーストな職場環境は従業員の忠誠心も向上させる(5/19、Aruba Networks)
・「モバイル技術により生産性が向上した」と回答した企業従業員は60%
・会社への満足度を決める要因「いつでもどこでも業務できること」がトップ
・創造性やコラボレーション力を高め、会社への忠誠心にも好影響と指摘
日本を含む世界9カ国の企業従業員1865名を対象とした調査。なお、世界平均と日本の回答を比較すると、日本では「いつでもどこでも業務できること」よりも「同僚と効率的に協働できること」をモバイル技術に求める傾向がある。日本企業におけるモビリティ戦略は、これを加味して進めるべきかもしれない。
■[ユーザー動向]大学新入生の「コミュニケーションツール」実態調査(5/19、東京工科大学)
・LINEの利用率が98%、ほぼ全員に普及。Twitterも81%と高い
・連絡手段は98%がLINE利用、携帯キャリアメールは36%と2年間で半減
・「世の中の動きを知るツール」としてテレビ(86%)に次ぎTwitter(56%)
東京工科大学が新入生を対象に毎年実施している調査。この世代のコミュニケーションインフラとしてLINEがすっかり定着していることがわかる。理工系学部の一人暮らし学生ではテレビやDVD/BDレコーダーの所有率が減少した、というデータも。
■[ユーザー動向]「かなりスマホ依存している」と考える20代ユーザーは26.4%(5/20、MMD研究所)
・10代~50代全体の「スマホ依存」自覚、71.4%がかなり/やや依存と回答
・「かなり依存している」ユーザーの21.2%は1日7時間以上スマホを使用
・「ちょっとした待ち時間にスマホをいじる」が62.2%で最多、「情報収集源がほとんどスマホ」も49.0%
15歳~59歳のスマートフォン所有者に対するインターネット調査。行動面から“スマホ依存度”を見ると、20代~30代が高く、40代になると大きく下がっている。PCを所有する/しない世代の違いだろうか?

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