「企業がコストをかけて保存しているデータのうち、33%はビジネス上価値のないデータ、そして52%は価値があるかどうかさえもわからない『ダークデータ』だ」――。ベリタステクノロジーズは5月13日、グローバル調査に基づくレポートを発表するとともに、肥大化するストレージコスト削減のために企業が取り組むべき具体策を提言した。
同日発表された「ベリタス データバーグレポート日本語版」は、世界22カ国のIT意思決定者2550名(うち日本は100名)を対象に、第三者機関が実施した調査をまとめた報告書。データバーグとは、氷山を意味する「アイスバーグ」にかけた造語で、“水面下”にIT管理者が把握できていない大量のデータが隠れている様子を意味している。
なお、ベリタスではすでに今年3月、「Data Genomics Index(データ ゲノミクス インデックス)日本語版」を発表している。こちらはベリタスの「NetBackup」導入企業を対象に、匿名のメタデータを収集/分析したもので、今回のデータバーグレポートとは調査対象や手法が異なる。とはいえ、両調査結果の傾向はほぼ同じと言える。
企業の保有データのうち「ビジネス価値のあるデータ」はわずか15%
同日の説明会ではベリタスの高井隆太氏が、同レポートのポイントと、そこからわかる問題点、そしてベリタスとしての見解や提言、ソリューションを紹介した。
同調査においては、企業が保有するデータを3種類に分類している。ビジネス上価値のある「クリーンデータ」、ビジネス上価値のない「ROTデータ(ROTは冗長/陳腐/無駄という英単語の頭文字)」、そして価値があるのかないのかさえわからない「ダークデータ」の3つに分類している。
冒頭に挙げたとおり、グローバル平均では、企業が保有するデータのうちクリーンデータは15%にすぎず、33%をROTデータが、52%をダークデータが占めている。つまり、企業が保有するデータの85%は、本来保有する価値がない(その可能性が高い)データという結果である。「価値のない、価値のわからないデータをこれだけ保有していれば、当然コストも余計にかかっている」(高井氏)。
この無駄なデータ保有コストが、ベリタスが指摘する問題点の1つだ。高井氏が示した試算によると、1000TB(1PB)を保有する企業の場合、ROTデータだけで「年間7840万円」もの保有コストがかかることになる。
さらに、ROTデータやダークデータの中には、従業員の個人的/私的なデータも含まれている。これもまた、ベリタスが指摘する問題点である。「私的なデータは、ストレージの無駄というだけでなく、企業にとっての潜在的なリスクになりうる」(高井氏)。
なぜ「リスク」なのか。個人の法的文書や身元証明文書、画像や音楽、ビデオ、未承認のソフトウェアなど、たとえ従業員が悪意なく保存したものであっても、地域内のデータプライバシー規制の適用対象になったり、著作権上の問題を引き起こしたりする可能性があるからだと、ベリタスでは説明している。