MMCX端子は他社品との対応を保証せず
いつも付属品がいっぱい付いてくるDUNU製品ですが、今回は話題のイヤーピース「Spinfit」が付属します。このイヤーピースはステムの先にくびれが設けられていて、イヤーピースの傘が柔軟に動く仕掛けになっています。これはイヤーピース開口部の向きを耳孔に対して適正化することで、高域のロスを防ごうというもの。実際、高域はよく出るようになりますが、薄いシリコン製なので遮音性はフォームチップに比べると劣る。このへんが使い分けどころでしょう。
もうひとつ新機軸は、着脱可能な端子が付いたケーブルです。見た目は明らかにMMCX端子なのですが、今回からスペック表には「MMCX端子」とも表記されず、またウェブでの説明は「DUNUの純正ケーブルでのリケーブルにも対応」という表現になっています。つまり社外品は対応を保証しないと。
というのも、今回から着脱部の構造が少し変わっています。DN-2002本体側のジャックはかなり奥に引っ込み、内周には新たに突起が設けられて、ケーブル側のプラグ外周の凹みと嵌合する構造。MMCX端子を採用したDUNU「TITAN 3」「TITAN 5」との相互接続は確認できましたが、手持ちのSHURE SE215付属のケーブルはDUNUのイヤフォンに接続できませんでした。
プラグチップは3極接点ですが、純正ケーブルはグランドを共有しない4芯構造となっています。適切なケーブルに交換すれば、最近増えてきたいわゆる「バランス接続」にも対応できるはず。マイク付きのケーブルなど、DUNUから純正交換ケーブルが発売されることを期待しましょう。
さて、価格から言って万人におすすめできるとは言いにくいですが、このブランドは価格破壊的なハイブリッド型や、オープンエアのハイブリッド型など、ほかがやらないアプローチで製品設計を行ない、それを世に問うてきました。DN-2002は、まさにそうした冒険的設計の真骨頂とでもいうべき製品で、かなりの部分で成功しています。
DN-2002は、イヤフォンが好きな人、様々なモデルを聴き比べてきた人なら、試してみれば必ずほかとは違うなにかを感じるはずです。ぜひ一度試してみることをオススメします。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ