4月12日、テラスカイはグループウェア市場への参入を発表。既存のグループウェアと一線を画した「ソーシャルウェア」を謳う「mitoco(ミトコ)」は、Salesforceのプラットフォーム上に構築され、他社クラウドやIoTとの連携を大きな売りにする。
Salesforce.com上に実装したクラウドネイティブなグループウェア
mitocoは「SkyVisualEditor」、「SkyOnDemand」に続くテラスカイの3本目の柱として新たに提供されるクラウド型のグループウェア。Salesforceのプラットフォーム上に構築され、他のクラウドサービスと柔軟に連携できるのが大きな特徴になる。
mitocoでは掲示板、カレンダー、ToDo、施設管理、コミュニティ、ワークフロー、組織情報管理、ファイル管理などの機能を標準搭載。ポータル画面、タイル表示の掲示板、ユーザーの操作を先読みしたクイックアクション、複数ユーザーによる共有ToDo、社外メンバーも招待可能なビジネスチャット、エクスプローラーライクなファイル管理などの特徴を備える。もちろん、モバイルネイティブの利用を意識しており、iOSネイティブアプリも標準提供する。
さらにmitocoは、人だけではなく、モノ(IoT)との連携も可能になっている。第一弾として会議室に人がいるかどうかをセンサーで検知し、利用がない場合は自動的に部屋をリリースする「会議室利用状況センサー」を提供する。テラスカイと資本関係のあるエコモットのセンサーを会議室に設置することで、利用状況をリアルタイムに把握し、mitocoで表示できるという。
mitocoのネーミングはMore In Today's Companyの略で、名付け親は同社のジェイソン・デイヴィッド・ダニエルソン氏(厚切りジェイソン)氏だという。
もはや既存のグループウェアには期待できない
記者発表会に登壇したテラスカイの代表取締役社長 佐藤秀哉氏はmitocoについて、「既存のカテゴリにはめたくないが、強いて言うとグループウェア。クラウド時代のグループウェアはなにかというのを改めて問いたい」と語り、円熟市場と言われているグループウェア市場に参入した背景を語った。
グループウェアは、コミュニケーションが社内に閉じられていた1990年代のクライアント/サーバー時代、部署間の風通しをよくするために生まれた。しかし、2000年代のクラウド黎明期になると、SNSで外部とのコミュニケーションが増え、さらに2010年以降のクラウドファースト期は、ChatWorkなど外部とのコラボレーションを前提にしたB2Bのコミュニケーションが台頭してきた。
しかし、現在市販されているグループウェアは、1990年代の思想と技術を前提に作られており、すでに時代のニーズにマッチしなくなっているという。佐藤氏は「既存のグループウェアは外部の人とコラボレーションするという発想に行かなかったし、外部の人を社内システムに入れるという技術的なハードルが高かった。技術的にも1990年代の古い技術でできあがっている。もはや既存のグループウェアには期待できない」と指摘。「日本橋の交差点の先の会社とバチバチやる」とサイボウズとの対抗意識をあらわにした。
クラウドネイティブを謳うmitocoは外部ユーザーを招待することで、コミュニケーションの範囲を社内から社外に拡げた「ソーシャルウェア」として機能する。また、Salesforceのプラットフォーム上に構築されているため、セキュリティや信頼性も高く、カスタムアプリケーションを手軽に追加できる。さらに標準搭載されたAPIから、mitocoと他社のクラウドサービスと連携することも可能。具体的な連携先としては、Amazon S3やBOXなどのストレージが予定されており、ファイル管理などに利用できるという。
販売価格は1~300ユーザーまでが月額800円/ID(税抜)で、ユーザー数が増えると安価になる。現状は、標準的な機能のみを搭載しているが、クラウドならではの強みを生かし、バージョンアップを繰り返す。「新しい働き方を提案したいので、すべての機能を実装するつもりはない。でも、2年以内には必要とするファンクションは全部実装していきたい」と佐藤氏は語る。