レコード再生からハイレゾデジタル化までOK
高機能で音質にもこだわったソニーの「PS-HX500」
ここでは、ソニーのレコードプレーヤーの最新モデルである「PS-HX500」(実売価格 6万円前後)を例として、レコードプレーヤーの基本を紹介していく。
駆動方式は「ベルトドライブ」という、ターンテーブルをベルトを介して回転させる機構を採用。
PS-HX500の場合、レコード上に針を運ぶ「トーンアーム」に、先端の針を設置する「ヘッドシェル」が一体型されている。ヘッドシェルには「カートリッジ」と呼ばれる、振動を電気信号に変換する装置が組み込まれている。カートリッジにはいくつかのタイプがあるが、PS-HX500は「MM型」を採用する。
再生操作(カートリッジをレコード盤上に動かしたり、盤面に針を上げ下ろしする動作)は自動と手動があるが、PS-HX500は手動で行なう。オーディオ用のレコードプレーヤーとしては標準的なモデルだ。
アナログレコード再生に欠かせないフォノイコライザーアンプを内蔵しており、ライン入力しか持っていないオーディオ機器との接続も可能。
ちなみに、レコードはアメリカレコード協会(The Recording Industry Association of America)が定めた方式で音楽を収録しており、これをオーディオ機器で再生させるために必要なのがフォノイコライザーだ。
フォノイコライザーを内蔵しないレコードプレーヤーの場合、別途フォノイコライザーが必要。レコードプレーヤーとフォノイコライザーは専用の端子で接続するが、PS-HX500は上述のように通常のオーディオ機器とそのまま接続できる。
PS-HX500の最大の特徴はここから。USBオーディオ出力を備えており、PCなどと接続すれば最大192kHz/24bitのリニアPCMやDSD形式でのハイレゾ録音ができる。なかなか多機能なレコードプレーヤーだ。
そして、音質にしっかりとこだわった作りも特徴だ。厚さ30mmの音響用の高密度MDFを使ったキャビネットや、独自の偏心インシュレーターなどを採用し高音質化を図っている。トーンアームも新設計で軽量シェル一体型の採用でトレース性能を向上している。
ほとんどのレコードプレーヤーは組み立てが必要
レコードプレーヤーは多くの場合、一部のパーツが分解された状態で梱包されており、ユーザーが自分で組み立てる必要がある。
PS-HX500の場合は、本体とターンテーブル(レコード盤を置く円形の部品)とターンテーブルシートを組み立てる。
まずは本体にターンテーブルを取り付ける。本体の取り付け部分にターンテーブルを回転させるスピンドルがあるので、そこをターンテーブルの中心にある穴にはめ込む。
その後、ターンテーブルの裏側に装着されているゴムベルトを、ターンテーブルの外周側にある四角い穴から引っ張り出し、本体から飛び出しているプーリーに引っかける。
あとは、滑り止め用のラバーマットをターンテーブルの上に重ねればOKだ。このあたりは、初心者にはちょっと慣れが必要でもあるので、注意して組み立ててほしい。製品によっても多少違いがあるので、取扱説明書をよく見て確認しながら行なうこと。
最後に、本体上部にダストカバーを装着すれば完成。ただし、ダストカバーはホコリの付着などを防ぐもので、不要な共振が発生するので再生時は外してしまうことが多い。
ダストカバーを開いた状態、閉じた状態、ダストカバーを外した状態でそれぞれ音が変化するので、興味のある人は試してみよう。レコードプレーヤーの再生はそれくらい繊細なのだ。
ターンテーブルの組み立てでゴムベルトを装着したが、こうした組み立てを行なうのがベルトドライブ方式の特徴。
ターンテーブルの中心にあるセンタースピンドルは、ターンテーブルを回転させるための軸でしかなく、モーターはゴムベルトを引っかけたプーリー側にある。
つまり、モーターをゴムベルトを使ってターンテーブルに伝えて回転させる仕組みだ。これを忘れると電源を入れてもターンテーブルが回転しない。
現在のレコードプレーヤーはほとんどがベルトドライブ方式で、センタースピンドルとモーターが直結しているダイレクトドライブ方式は、DJ用のレコードプレーヤーのほかはテクニクスのSL-1200GAEくらいだ。
ベルトドライブ方式とダイレクトドライブ方式にはそれぞれメリットとデメリットがある。
ベルトドライブ方式は昔からの単純な構造で、ベルトが劣化するとレコード盤の回転が不安定になる。長く愛用する場合は定期的なベルトの交換が必要だ。
ダイレクトドライブ方式はベルトが不要なので定期的なパーツ交換が不要で信頼性に優れるが、モーターを低速で回転させるために精密な回転制御が不可欠。コギングと呼ばれるモーターの回転のクセが直接レコード盤に伝わってしまうため、音質にも影響が出やすい。
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