約1年近く続けてきたスーパーコンピューターの系譜。その最後として今回はFPGAを解説したい。
古くはCCC(Cray Computer Corporation)の閉鎖後に設立されたSRC Computersが、FPGAをベースとした製品をリリースしていた(現在もしている)し、CRAYも一時期XD1をリリースしていた。
昨今はマイクロソフトがデータセンターでFPGAを使っていたという話もあり、実はデータセンター向けのニーズが徐々に増えつつある。このFPGAについては連載307回でさらっと解説しているが、もう少し細かく説明しよう。
あらゆる回路を構成できる反面
ICを複雑につなぐ必要がある
FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。“Field Programmable”が肝で、つまり製造後に内部のロジックを書き換え可能なゲートアレイという意味となる。もちろん、これでは意味がわかりにくいだろう。
そもそもデジタル回路はすべて0か1の2値で表現される、という話は連載237回で紹介した。
連載237回では2bitの加算器(Adder)回路を解説したが、全体を「入力が4bit(A0/A1/B0/B1)、出力が3bit(OUT 0/1/2)の箱」とみなすこともできる。
したがって、図2のように、4bitの入力と3bitの出力の組み合わせが図1とまったく同じ別の回路を構成すれば、それは図1の回路と置き換えて2bitの加算器(Adder)と称することができる。ここまでは普通の話だ。
当初、真空管やトランジスタベースだったデジタル回路は、TI(Texas Instruments)の7400シリーズや、その後継の標準ロジックICをベースに構成できるようになった。
この7400シリーズはものすごく多い(Wikipediaに一覧がある)ため、これを組み合わせれば複雑な回路も構成できる一方、標準ロジックに含まれていない回路を組みたい場合、標準ロジックICを複数個、複雑につなぐ必要があり、これが面倒だった。
そこで、回路を自由に構成できるICがほしい、という希望は昔から多くの人が抱いていた。これを最初に実現したのがPLD(Programmable Logic Device)である。
製品としてはMonolithic Memories, Inc.(1987年にAMDに買収され、その後Vantisとしてスピンアウト後、Lattice Semiconductorに買収された)がリリースしたPAL(Programmable Array Logic)が最初のものとなる。
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