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車両データを基に多彩なビジネス創出へ

SAPジャパン、コネクテッドカー推進基盤を国内展開

2016年03月24日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 SAPジャパンは3月23日、コネクテッドカービジネスを推進するプラットフォーム「SAP Vehicle Insights」を日本市場で限定的に提供すると発表した。

バイスプレジデント 自動車産業統括本部長の小寺健夫氏

 2020年にコネクテッドカーは1億5000台に達すると予測される。SAP Vehicle Insightsは、自動車関連サービスを展開したいあらゆる企業が利用可能なプラットフォームで、「SAP HANA Cloud Platform(以下、HCP)」のPaaS環境上に構築された汎用的なSaaSとして提供される。カスタマイズ性が高く、さまざまな事業者のニーズに応えられるという。

さまざまな適用シナリオ

 具体的には、クラウド型の車両分析アプリプラットフォームとして、車載端末からリアルタイムに取得した走行中車両のデータを即座に分析できる。特長は「圧倒的なコストとスピード」(バイスプレジデント 自動車産業統括本部長の小寺健夫氏)。

 SAP Vehicle Insightsによって、車両の現在位置・走行ルート・速度といった運行状況や、ガソリン残量・タイヤ空気圧といった車両状況をリアルタイムに取得し、事故防止をはじめとしたさまざまなサービスが実現できるのだが、その上で「HCPに用意された機能を利用することで、数カ月でサービスインできるのが強み」(同氏)という。

 また、インメモリプラットフォーム「HANA」をベースとするため、大量のセンサーデータをリアルタイムに解析する「パワー」も強みだ。「例えば、下り坂を走っているのにエンジンブレーキを使っていないといった状況もリアルタイムに把握できるため、警察に通報し、その道の先で止めるような対処も可能、これらはデジタコのように蓄積したデータを後で確認するようなソリューションでは難しい」(同氏)とした。

プロトタイプ。位置情報と速度のデータから、どの場所でどのくらいのスピードを出しているかをリアルタイムに把握車載カメラと車両データを連携させた例。さらに機器の故障を検知し、ERPに連携。その部品を扱うメーカーを表示し、その場で注文できるようにしている

 第1弾の活用例として、バスの危険運転を検知するシステム「Bus Safety Network」を開発し、国内バス事業者と実証実験を進めている。バス車内に設置したOBD2やスマホなどの車載端末から、現在位置・速度・急ブレーキなどを取得し、問題がある場合は運行管理者に自動的に連絡されるような仕組み。

バスの危険運転を検知するシステム概要
プロトタイプ。バスの運行における安全指数を表示したり現在位置・速度・急ブレーキなどを取得し、問題がある場合は運行管理者に自動的に通知するような仕組み。実装でさまざまな用途が考えられるため、数社の国内バス事業者とともに検証を進めている

 小寺氏は「軽井沢のバス事故を受けて、どうにかバスの安全運行に褐葉できないかと考えた。バス向けの機能をいくつか追加しながら、数社の国内バス事業者と話を進めているところ。バス会社だけでなく多くのステークホルダーが利用できるもので、例えば、乗客の家族や宿泊施設が現在位置を把握したり、バス部品の故障をいち早く検知してメーカーに注文したり、テレマティクス保険にも活用できる。将来的には警察・消防での活用や、車両データだけでなく運転手の健康状態も把握できるよう、ウェアラブルデバイスとの連携も検討したい」としている。

 一般提供開始は2016年第2四半期(4~6月期)を予定する。

 併せて、こうした新ビジネス創出を促進すべく、自動車メーカーを始め、快適なカーライフの提供を目指すアプリプロバイダー、ガソリンスタンド、パーキング事業者、広告代理店、保険会社などあらゆる企業向けのオープンマーケットプレイス「SAP Vehicles Network」も国内展開を開始する。

 例えば、米Toyota Info Technology Center U.S.A.が参画するプロジェクトでは、給油時に最寄りのガソリンスタンドを案内し、モバイルアプリを介して自動決済する仕組みをプロタイプ開発している。ただ、実用化する際に、トヨタがすべてのガソリンスタンドと提携し、こうした仕組みを構築していくのは現実的ではない。

 そこで各社の多彩なサービスをマーケットプレイス上に登録し、自由に組み合わせて、新しいモビリティサービスやアプリを作れるようにするのが「SAP Vehicles Network」だ。

SAP Vehicles Networkの特徴

 独SAPはこの基盤を基に、Volkswagen AG、Shell、VeriFone、Toyota Info Technology Center U.S.A.、BMW AGなど、世界中の様々な企業とコネクテッドカービジネスに関する実証実験を行ってきた。給油以外にも、例えば、駐車場の予約・ゲート開閉・支払いなどを車内からネットワーク経由で行うような仕組みだ。

 現状は北米および欧州において限定的に提供されている状況だが、2016年から日本でも実証実験を進め、コネクテッドカービジネスを推進するとしている。

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