米国ラスベガスで1月7日から10日にかけて開催された世界最大の家電見本市「2014年インターナショナルCES」。元々はテレビやタブレット、ウエアラブルデバイスといった電子機器が中心のイベントだが、近年徐々に存在感を増しているジャンルがある。それは自動車だ。
昨年のCESにはレクサスやアウディ、スバルなどが参加。CESを主催する米国家電協会(CEA)によると、2013年は「過去最多の自動車トップメーカーが出展」したと言う。今回もトヨタ、メルセデス・ベンツ(ダイムラー)、フォードといった名だたるメーカーが登場し、会場に華を添えた。
だが、自動車が展示してあるのは自動車メーカーのブースだけではない。例えばインテルのブースには日産自動車の「インフィニティQ50」が鎮座している。
実は、この車は情報通信システムにインテルのチップを採用し、2G回線でネットと接続して情報をやり取りできる「コネクテッドデバイス」だ。同様のシステムは「BMW i3」でも採用されている。
ひときわ目立った自動車メーカーはアウディだ。「アウディA3」はクアルコムの「Gobi」モデムを組み込み、世界で始めてLTE通信に対応。同社のルパート・シュタートラーCEOは基調講演で、エヌビディア製チップとAT&TのLTE回線を搭載した自動車を使って自動運転を披露してみせた。
一方で自動車向けのスマートデバイス対応アプリも登場。メルセデス・ベンツ(ダイムラー)はスマートウォッチ「ペブル」や「ギャラクシーギア」用のソフトウエアを公開した。ガソリン残量やドアロックといった自動車の状態やナビ情報などを、スマートウォッチから閲覧できる。同様の機能を有したBMW向けアンドロイド端末用アプリは、サムスンのブースでも見つけられた。
自動車の脱ガソリンも傾向のひとつだ。トヨタは燃料電池自動車の投入計画を明らかにし、パナソニックは同社製バッテリーのテスラへの搭載をアピールした。
バッテリーで駆動し、高性能チップと通信用SIMを搭載し、ありとあらゆるセンサーの塊で、しかも「モバイル」なスマートカーは、スマホやウエアラブル端末に近しい存在。今後の家電業界において、意外な「台風の目」になる可能性があるのだ。