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専門組織の設置や新パートナーとの契約でクラウド化を推進

クラウドアレルギーの消えた中堅・中小企業を攻めるSAPジャパン

2017年04月05日 07時00分更新

文● 大河原克行

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4月4日、SAPジャパンは中堅・中小企業向けビジネス戦略について説明。新たに中堅・中小企業向けに特化した組織を70人体制で設置したことを明らかにした。また、4月1日までに、新たに11社の中堅・中小企業向けパートナー企業と契約。パートナーとの共同展開を加速するほか、クラウドビジネスにあわせた新たなインセンティブプランも用意する。

SAPジャパン始まって以来の中堅・中小企業フォーカス

 SAPジャパンのゼネラルビジネス統括本部長の牛田勉バイスプレジデントは、「SAPは大手企業向けのイメージが強いが、全世界34万5000社のうち、80%以上が中堅・中小企業であり、S/4HANAの新規顧客では60%以上が中堅・中小企業となっている。中堅・中小企業向けの新組織の設置は、SAPジャパン始まって以来の中堅・中小企業へフォーカスになるといえる。とくに、年商250億円以下の企業に対しては、パートナーとの連携により、チャレンジャーとして取り組んでいく」と語った。

SAPジャパン バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部統括本部長の牛田勉氏

 SAPジャパンでは、2017年度の事業戦略の柱の1つとして「企業システムのフルクラウド化」を掲げており、その重点施策のひとつに「中堅・中小企業向けビジネスの強化」を掲げている。

 「従来の中堅・中小企業向けの営業体制は、30人規模で地域別に分類する格好になっており、さらに営業部門とパートナー部門が別組織になっていた。だが、2017年からは、中堅・中小企業向けに特化した営業組織にパートナー部門も統合。70人以上の体制と倍増以上に拡大し、年商規模別での営業体制とした。デジタルマーケティングを主軸とした中堅・中小企業向けに特化したマーケティング、販売活動を行なう」としている。

2017年度の中堅・中小企業向けの営業体制

「製品」「パートナー」「マーケティング」の3つの施策でクラウド化を推進

 SAPの中堅・中小企業向けビジネスでは、クラウド製品のラインアップの充実による「製品」、パートナー協業モデルの展開による「パートナー」、認知度の向上の「マーケティング」という3つの観点から施策を進める考えを示した。

製品、パートナー、マーケティングの3つの観点での施策

 製品では、業務系として、SAP Business ByDesignやSAP S/4HANA Cloudのほか、営業系のSAP Hybris Sales Cloud、SAP Hybris Service Cloud、人事系では、SAP SuccessFactors、分析系として、SAP BusinessObjects Cloudをラインアップ。また、オンプレミスのSAP Business Oneも中堅・中小企業向けに提案していくという。 「一部は、経済産業省のIT導入補助金対象製品に認定されており、3月までの期間では、これを活用した導入実績もあがっている」という。

 パートナーでは、専任担当者により、個別のパートナー支援体制を構築。新規パートナーの発掘および育成や、パートナーとの共同での営業・マーケティング活動を展開。「年商規模1000億円以下を『中堅・中小1』、250億円以下を『中堅・中小2』をして営業活動を行う。これまではSAPにとって、500億円以下という切り口が最小であり、250億円以下というのはこれまでにないものとなる。新たに契約した11社のパートナーのなかには、地方のパートナーもおり、地域に特化した展開も視野に入れる。また、パートナーの育成にも力を注いでいく」とした。

 SAPジャパンでは、約250社のパートナーがあるが、これらのパートナーのなかにも、中堅・中小企業向けの導入活動に積極的に取り組んでいるケースもあるという。

 マーケティングへの取り組みでは、中堅・中小企業専用のWebサイトを新設し、「SAPに関して、知る、見る、試すの観点から訴求していく」としたほか、ソーシャルメディアを活用する事例や製品の紹介、Webセミナーによる製品紹介や事例紹介を週1回のペースで開催。さらに、都市部以外のセミナーやイベントも随時開催していくという。2017年5月には、福岡で、中堅・中小企業向けセミナーを開催する予定だという。

 「過去にも中堅・中小企業向けに取り組むとした時があったが、そのときには大手企業向けに提供していた製品の機能を絞り込んだ提案であった。だが、クラウドによって、中堅・中小企業向けの製品がラインアップされ、中堅・中小企業が導入しやすい環境が整ったこと、ユーザー側にもクラウドに対するアレルギーがなくなり、パブリッククラウドで提供できる製品が揃った点が大きい。さらに、テンプレートを活用した提案が可能になっている点も、手離れよく中堅・中小企業向けに販売ができる要因のひとつになっている。こうした点が、これまでとは大きく異なる」とした。

5社のうち4社が「デジタル変革に具体的なメリットあり」

 IDCがSAPを活用している全世界の中堅・中小企業を対象にした調査では、5社のうち4社が、デジタル変革を進めた結果、具体的なメリットがあったと回答した結果を示しながら、「従業員1000人未満の企業の46.5%が生き残るためには、今後3~5年の間に、デジタルエコノミーへの積極的な参加が不可欠と回答。100人未満の企業でも38.2%の企業が同様の回答を寄せており、中堅・中小企業もデジタル変革が不可欠だと判断している。また、5分の2の企業がクラウドの導入が予想よりも容易だったとし、3分の1の企業がコラボレーションソフトやCRMなどをクラウドで導入している」とした。

中堅・中小企業におけるデジタル変革のメリット

 会見では、中堅・中小企業におけるSAPソリューションの導入事例として、オンライン決済サービス「Paidy」を提供するエクスチェンジコーポレーションが、SAP Business ByDesignを導入していることを紹介。同社の乾牧夫 CFOは、「ERPを活用することで、戦略性の高いKPIの抽出やモニタリングが可能であり、経営に対するフィードバックを速め、経営の迅速性につなげることができる。ERPベンダーのなかで、自前主義を守ってきたのがSAPであり、ひとつの設計思想がプラットフォームを支配した、一貫性を持った企業の方が安心できると考えた。また、パブリッククラウドでも十分な使用に耐えうるパフォーマンスを得られたこと、競争力のある導入コストを持ち、従業員50人以下の企業においても、最適化した環境を実現できる点を評価した」などと語った。

エクスチェンジコーポレーション CFOの乾牧夫氏
 

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