4つのインダイヤルを搭載。うるう年にも対応
さて、肝心の腕時計の機能だが、文字盤の12時位置と、3時位置、6時位置、9時位置の4ヵ所にインダイヤル(文字盤の中にある別の小さな文字盤)が配置されている。
設定の時やクロノグラフ使用時などで別の機能文字盤として使用される場合もあるが、日常的な使用時における表現の役割分担は決まっている。
まず、3時位置のインダイヤルは秒針と24時間計。6時位置のインダイヤルは、今がうるう年かどうかのポインターと現在の月表示。9時位置のインダイヤルは今日の日付と曜日、そして12時位置のインダイヤルは29.5日で新月から満月を経て再び新月になるまでの月齢を0から29.5の間の月の位置で表示しているムーンフェイス文字盤。背景には天賞堂のトレードマークである“エンジェル”(天使)が表示されている。
筆者が入手した今年は幸いにも“うるう年”にあたり、2月は29日まである4年に一度のグランドコンプリケーション向きのラッキーな年であった。
たとえ100円ショップで買った腕時計でも、ごく普通のカレンダー機能付きのデジタルウォッチなら数十年先まで、文字盤の表示はプログラミングされて出荷されている。
このため、バッテリーがなくなっても、バッテリー交換後に年月日と時分秒を時報に合わせれば、大の月、小の月なんてのは楽勝で、曜日選択もなんのその、うるう年もあっけないくらい簡単に乗り切ってしまう便利さだ。
ところが、機械式腕時計はそうは問屋がおろさない。たまたま小の月の月末になれば、30日を1日進めて事前に31日にするか、運悪く午前0時を回ってしまい31日を表示してしまった状態なら、もう一度、腕時計を手にとって、さらに1日進めて1日に合わせ直さなければならない。
グランドコンプリケーションスポーツの「パーペチュアルカレンダー」機能は、プログラミングと、すべてのカレンダー操作を内部に組み込まれた腕時計のメカニズムが対処してくれる。
ちなみに、上の動画は2月29日の深夜0時に見事、3月1日(火曜日)にジャンプした際の様子。まず最初に曜日が火曜日に変わり、続いて月と日付がほぼ同時に3月1日に変わった。
そしてもう一つの特記すべき点は「ミニッツリピーター」機能だ。
これは長く暗い場所にいたために文字盤の蓄光機能が低下して文字盤から現在時刻を読み取ることができない時に、音で現在時刻を知らせてくれる便利な機能だ。
現在時刻の表現に、あたかも小さなベルをハンマーで叩くような繊細な電子音でオーナーに時刻を知らせてくれる。
音の組み合わせは、1秒間隔で鳴る高い音や低い音、短い間隔でその両方を鳴らすなど3種類の音の組み合わせで現在時刻を表現する。
たとえば現在が2時28分なら、まず高い音(時)が1秒間隔で2回鳴る。そして次に高い音+低い音の2つの音の組み合わせが1回鳴る。そして最後に低い音(分)が1秒間隔で13回鳴る。
最初の時刻の2回は理解が容易だ。次に鳴った高い音+低い音の2つの音の組み合わせは、実は15分という単位を表現している。その後、低い音(分)が13回なったことで……2時+(15分)+(13分)で2時28分と解釈できるのだ。残念ながら昼夜の区別はない。
文字にすると複雑そうに聞こえるが、実際に鳴っている音を耳にすると極めて心地よい音で、とても電子音とは思えない心の安らぐナチュラルな雰囲気だ。
天賞堂グランドコンプリケーションスポーツ腕時計は、秒レベルの正確さはクォーツ技術に任せて、表示計はすべてメカニズムで実現し、コストを抑え極めて合理的なグランドコンプリケーションを実現している。
記事掲載当初、パーペチュアルカレンダー機能について誤りがありました。お詫びして訂正いたします(2016年3月22日)
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