昨今は日本史上で何度目かのスマートウォッチブームではある。ネットやテクノロジー業界の一致団結で目論んだ“凄いスマートウォッチが登場する”というウワサは、今まで同じ業界内だけでチンタラやってきた腕時計市場のカンフル剤にはなったかもしれない。
しかし、鳴り物入りのスマートウォッチにもそれほどインパクトのあるハードウェアの登板もなく、関連する便利なアプリケーションも登場しないまま、一度は購入を考えた未来のユーザーも肩透かしを食らって、今回のスマートウォッチブームも何度目かの終焉を迎えることになりそうだ。
タグ・ホイヤーやブライトリングをはじめ、伝統的時計業界も対抗すべく、OEMに頼った比較的安価なスマートウォッチを発売したり、従来の伝統的腕時計にスマート機能を取り込んだモデルを発表したりと、その戦略は一定しない。
音楽メディアがCD購入から、レンタルになり、ネット配信になったデジタル化のウェーブとはだいぶ隔たりがありそうだ。残念ながら、IT柳の下には“音楽どじょう”に続いて二匹目の“腕時計どじょう”はいそうにないようだ。
スマートウォッチ系が脱力感に苛まれている今だからこそ、何としても狙いたいスマートウォッチとは別世界の素晴らしい機械式腕時計がある。今回、筆者がとある記念日のプレゼントとして家族から頂いた東京銀座に本店をおく天賞堂の「グランドコンプリケーションスポーツ」がその機械式腕時計だ。
もちろん、オリジナルと言っても、きちんとした腕時計を一から作れるメーカーは日本に数社もないので、この腕時計も基本部分はその中の某C社の開発商品だ。
しかし、外装やデザインなどは天賞堂独自の意匠が見事に表現されており、筆者はこの仲間の前モデルを数年前に見て以来、いつかは欲しいと思っていた腕時計だ。
クォーツ駆動の採用で低価格を実現した
「グランドコンプリケーションスポーツ」
まず、あまり耳になじみのない腕時計の名称であるこの「グランドコンプリケーション」とはなんだろうか。ちょっとネットで調べてみると、「腕時計の機能のうち、パーペチュアルカレンダー、トゥールビヨン、クロノグラフ、ミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフなどの複雑な機構を、複数搭載した“複雑腕時計”のこと」とある。
今回ご紹介する製品は、このうちのトゥールビヨン機能以外のすべての機能を搭載した腕時計なのだ。
話題のトゥールビヨンはご存知の方も多いだろう。腕時計は腕に装着するゆえ、地球の引力により姿勢差による誤差が発生する。それを内部のメカの姿勢制御で補正する機構だ。
残念ながら部品点数も多く、複雑で難易度の高い超高価なメカニズムだ。この機能を搭載してしまうとアッという間に数百万円~1000万円以上の高額腕時計になってしまう。
天賞堂グランドコンプリケーションスポーツは、この高価な駆動メカニズムをトゥールビヨンなどの機械式ではなく、精度が高く安価なクォーツ駆動機構で実現し、それ以外の機械部分と上手くインテグレートして極めてリーズナブルな価格(といっても約20万円だが)で興味深いグランドコンプリケーション腕時計を実現している。
プレゼントにも最適な豪華なパッケージ
銀座の店頭で受け取って持ち帰ったパッケージは、自分で買うか、人から贈られるかを問わず、人生の記念となる節目の腕時計として、またお祝いの腕時計としてマッチする豪華なパッケージとコンプリート感がグッドな商品だ。
汗をかく時期のためにラバー製のバックル式ベルトもワンセット付属する。それを交換するためのツールも付属するが、お店の方のお話では、店頭に来ていただけると無料で交換もやってくれるらしい。
パッケージ内部には、この複雑な腕時計の取説も入っているが、ネット上に設定や操作手順の動画も用意されている。
いずれにせよ、バッテリー交換時に設定すればあとは問題なく確実に2年間は動作してくれる。出張などでオン/オフ用の複数の腕時計を携帯するユーザーには付属の革製のスクエアなケースもうれしい。

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