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「患者参加型医療」を促進

愛知のがん医療機関、タブレットで患者が症状を自己管理

2016年02月16日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 富士通と富士通フロンテックは、愛知県がんセンター中央病院の入院患者向けベッドサイドシステムを構築。「患者と電子カルテの情報を共有し、患者参加型医療を促進する」(富士通)目的で、2月から運用を開始する。

 入院患者が、自分の病室で、がんセンター中央病院から貸与されるタブレットを利用。病院の診療方針、医療費概算などの伝達事項、診療スケジュール、診療・治療・検査室への案内表示、過去の診療・検査記録などが確認できる。体の症状、食事量、飲水量なども患者自身がタブレットから電子カルテに入力できるため、症状の変化の認識や自己管理意識が高まり、治療への主体性を育めるとしている。

 また、入院環境の利便性を高めるため、院内の売店へのデリバリー発注や理容室のシャンプー予約などの機能も備えるという。入院中に日用品が不足した場合、患者自身が売店まで行くことが難しかったり、着替えがおっくうなことがある。また、せっかく理容室まで移動してみたが満席だったということもある。そうした事態を避けられるという。

 一方、看護師にとっては、事務的作業負荷の軽減が可能となる。看護師は従来、患者の体の症状、食事量、飲水量などをベッドサイドでヒアリングし、ナースステーションに戻って電子カルテに入力していた。診療スケジュールの説明なども患者1人ひとりに口頭で行なっている。

 本システムを利用すると、患者がタブレットから電子カルテシステムへ入力するのをサポートするだけでよく、こうした作業負荷が軽減され、患者とのコミュニケーションとより手厚いケアに注力できるという。

 タブレットには、富士通の10.1型ワイド「ARROWS Tab Q555/K32」を採用。約630gの軽量で、バッテリ駆動時間は約11時間のため、患者の起床から就寝まで安心して利用できるとしている。

 国内のがん患者数は増加傾向にあり、1981年に日本人の死亡原因の1位となった。2015年には、羅患数が98万例、がんによる死亡は37万人になると予測され、増加し続けているがん患者に、最適な治療を効率的に適応する工夫が求められている。がんセンター中央病院では、安全な医療を提供するだけでなく、「患者の積極的な治療への参加」を促し、治療にも好影響を与える環境を提供したい考え。

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