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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第11回

「ファントム・ワールド」「だがしかし」人気も話題は「おそ松さん」「ガルパン」に

トップ不在の2016年冬アニメの二次創作

2016年02月11日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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引き続き記録的人気のおそ松さん、冬アニメの裏で人気拡大のガルパン

 上記の通り、今期の新アニメでは目立って投稿の多い作品は見られません。特に女性の投稿では「暗殺教室(2期)」「デュラララ!!×2 結」は低調、新作では「ディバインゲート」が好調なものの大きな動きにはなっていません。

 この背景として昨年10月アニメで劇的な人気のあった「おそ松さん」が2クール目に突入、今年に入ってからも席巻している点が挙げられます。

 2016年1月におそ松さんはニコ動で3000件弱(カテゴリタグの「東方」や「アイドルマスター」よりやや少ない程度)、pixivで約4万件(艦これ・東方の2倍以上)という作品投稿数を維持。作品人気もニコ動・pixivともにランキングを埋めるなど非常に高いです。

 この影響で、新アニメだけを見ると目立ったタイトルがないように見えるのでしょう。また同じくアニメ継続放送中の「ハイキュー!!」もpixivで月5000件程度と好調です。

 なおこれは「おそ松さん」人気が新アニメの投稿を食っている、という話ではありません。pixivなどで投稿が「おそ松さん」に集中しているのは事実ですが、今期については女性人気の強力なタイトル(上記の「ハイキュー!!」など)が今期スタート作品のなかにないことが主な原因と思います。

 また男性投稿者では、艦これ・東方・アイマス・ラブライブと定番のほか、昨年11月より劇場版が上映中の「ガールズ&パンツァー」が急浮上しています。

 「ガールズ&パンツァー」は2012年10月から放送されたオリジナルアニメ。通称ガルパン。少女たちが戦車を操る架空の武道「戦車道」を描くアニメで、2013年3月に遅れて最終回を放送、2014年にOVAを発売、今回劇場版が上映されました。

 以前から艦これなどと関連して萌えミリタリーものとして紹介され、アニメの舞台となった大洗がファンの聖地として話題になったりもしていましたが、pixivではテレビアニメ放送時のピークでも月に約1000投稿の規模でした。

 しかし劇場版が「ガルパンはいいぞ」のフレーズで話題になるとイラスト投稿が急激に増加、1月には3000件近くの投稿がありました

 面白いところではテレビ放送時は主人公の「西住みほ」やその周辺のキャラが人気だったのに対し、劇場版以降はOVAから登場した対戦校のリーダーの「アンチョビ」がよく描かれています。劇場版で活躍していたのと、年末にOVAがテレビ放送された関係でしょう。

 ニコ動でも12月以降よく検索されるようになっており、投稿も増えています。あくまで「以前と比べて」で、おそ松さんほど劇的ではありませんが、劇場版がきっかけでテレビアニメ放送時より注目が高まるというのは最近では珍しい動きでした。

「ガールズ&パンツァー」関連のpixivのイラストの月ごとの投稿数の推移。データ取得は1月末から2月はじめ

 今期は以前の調査で人気の高かった「おそ松さん」「ハイキュー!!」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」などが引き続き放送中で人気があり、アニメとしては今回紹介したタイトルなど面白いものも多いですが、二次創作的には目立ったタイトルが欠ける傾向です。

 上記のような継続中のアニメが多いほか、最近は再放送の深夜アニメが多いこともあり、今期は特に新規のアニメ本数自体が少なかった印象です。

 もっとも「ガールズ&パンツァー」も昨年7月からの再放送が劇場版ヒットの呼び水になったとも言え、再放送や劇場版で過去の良作アニメが再評価される流れも出てきているのかもしれません。昨年末では「STEINS;GATE」が再放送の最終回直前で別ルートを放送して話題になりました

 最近はラブライブ!など深夜アニメからの映画化でも目を見張るヒットを飛ばす作品も増えてきました。ガルパンのように期間を置いて再評価される作品もあり、先が読めないところです。

 まさにおそ松さんが大ブレイクしているように、現在でもテレビアニメ化は二次創作でのブレイクの代表的なきっかけですが、OVA・劇場・ネット配信などチャンネルが増えていることもあり、今までとは違うかたちでブレイクする作品も出てくるのかもしれません。今後も注目していきたいと思います。

イベント告知

 コミックマーケット89で頒布した新刊「ニコニコ動画統計データハンドブック2016」はCOMIC ZINに委託中

 米沢嘉博記念図書館では企画展示「マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から+α」が本日11日より開始。ぜひご来館ください。


マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から+α

6月5日(日)まで開催

 2015年夏、戦後70年の節目を迎え、京都国際マンガミュージアムで開催された、戦争についての展示を巡回します。

 「戦争マンガ」を、6つの視点で選ばれた24の作品とその背景を解説するパート。新しい視点と表現で「戦争マンガ」を描いている3人の作家こうの史代・おざわゆき・今日マチ子の原画を展示するパート。さらに、西島大介の原画を、当館オリジナル「+α(プラスアルファ)」のパートとして追加展示します。それらを紹介することで、戦争と戦後を再び考えるためのひとつの視点を提示します。

■会場:米沢嘉博記念図書館 1階展示コーナー
■期間:2016年2月11日(木・祝)~2016年6月5日(日)
特別整理などで休館する場合あり。公式サイト、もしくは開館日に電話にて要確認。

■主催:明治大学 米沢嘉博記念図書館
■企画:京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター
■監修:呉智英(評論家/京都国際マンガミュージアム研究顧問)、吉村和真(京都精華大学マンガ学部教授)
■問い合わせ:米沢嘉博記念図書館
 〒101-8301 東京都千代田区猿楽町1-7-1
 TEL:03-3296-4554

会場は東京都千代田区の明治大学 米沢嘉博記念図書館。コミックマーケット前代表の故・米沢嘉博氏が蒐集したサブカルチャー資料などを収蔵する。また、期間限定ながら直近のコミケで収集された見本誌を閲覧できるレアな場所でもある

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