国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などは1月25日、有機半導体デジタル回路を高速化し、世界で初めて商用ICカード規格で動作する温度センシング回路を実現したと発表した。
これはNEDOのプロジェクトにおいて、トッパン・フォームズ、富士フイルム、パイクリスタルなどのメーカーが共同開発したもの。有機半導体溶液を塗布すると同時に結晶化させて膜にし、トランジスターを構成するという東京大学のグループが開発した技術で、回路集積化の技術も確立しつつある。
今回開発した回路は5μmの有機CMOSで、従来の速度を1桁上回る駆動速度を実現したという。これにより、世界で初めて印刷できる電子回路で13.56MHzのRFID信号(NFC準拠の商用ICカード規格)で温度データをデジタル伝送するフィルムタグを実現した。
塗布・印刷プロセスにより簡単かつ低温で製造できるのが大きな特長で、従来の塗布型有機半導体よりも10倍以上高い性能で製造コストは1/10以下にもなる。プロジェクトでは温度検知機能つき物流管理タグの商品化を目指しており、今回のNFC対応によって目標実現に向けて大きく前進したという。
NEDOでは、さまざまな企業とともに当初の目標である温度センサー搭載物流RFIDだけでなく、さらなる有機エレクトロニクスデバイスの開発を進めるとしている。