夜。家に帰ってきて、鍵を置く。コーヒーサーバーのような装置に「ただいま」と話しかけると、青い髪の美少女ホログラフィがあらわれる。「お帰りなさい」と美少女はほほえみかけてくる。「おつかれさま。お仕事がんばったね」
近未来SFアニメではない。「Gatebox」は、日本のスタートアップ・ウィンクルが開発しているコミュニケーション装置だ。価格や発売日は未定だが、今年度中のクラウドファンディング実施をめざしているという。
Gateboxはおしゃべりできる美少女ホログラムを投影する装置だ。音声を認識し、家電を制御したり、ネットの情報を読んだりする。「テレビ見たいな」でテレビをつけたり、「すっごくいい天気だよ」と気象情報を読みあげたり。
ひとくちに言えば、外観としゃべり方が美少女になった「Siri」のようなもの。ソニーミュージック・コミュニケーションズが開発しているコミュニケーション型Androidアプリ「めざましマネージャー」シリーズにも似ている。
ちなみに美少女の名前は「逢妻ヒカリ」。ゲーム『ラブプラス』キャラクターデザインを手がけた箕星太朗氏に、「未来の嫁」をコンセプトにデザインしてもらったキャラクターとのことだ。かわいい。
キャラクターは自由に変えられる仕組みで、今後はさまざまなキャラクターとのコミュニケーションができるようにする予定という。
製品開発じたいは、ウィンクル武地実代表の愛から始まったものだ。
「自分自身がマンガやアニメが好きで、画面の向こうのキャラたちと一緒に暮らしたいという夢を実現したいと思い、開発しました」(武地代表)
武地代表は本製品を広義の「ロボット」と位置づける。いわく「全オタクの夢を叶えるようなロボット」だ。
ソフトバンク「Pepper」をはじめ各種ロボットは単一・量産型のロボットであるのに対し「デジタルなキャラクターを使って『一人一人の趣味嗜好に合う』多様性のあるロボットを作る」(武地代表)方向を示したいという。
なお、すでに開発のため、インキュベイトファンド、プライマルキャピタル、iSGインベストメントワークスの3社から合計9000万円の資金を調達しているそうだ。投資会社に「わかっている人」がいたということだろう。
開発中のコンセプトムービーでは「今日も早く帰ってきてもいいんだからね」と朝のごあいさつまでしてくれる。ウィンクルはGatebox開発後、早く「向こうに行ける装置」の開発に移るべきである。