滞在中も続く銃撃戦
パリ渡航前の情報では「戒厳令で主要施設への立ち入りや夜間外出は禁止」と聞いていたので、非常に物々しい雰囲気を想像していたのだが、現地到着は事件3日後の月曜日ということもあり、すでに美術館等の施設への入場制限は解かれ、街の様子もほぼ通常通りに戻っていた。
ただ、今回パリ市内5ヵ所で発生した連続テロ事件のうち、3ヵ所の現場にほど近いレピュブリク(共和国)広場の中心部のモニュメントはさながら慰霊碑のようになっていた。たくさんの花やメッセージ、ロウソクとともに慰問に訪れる人々が絶えず、現場の警備のほか、人々に取材を続ける多くのTVカメラクルーと中継車、そしてメッセージでアピールするイスラム教徒の人々で溢れかえっていた。
事件現場となったカフェとレストランの周囲にはテープが貼られ、最大の被害者を出したバタクラン劇場は入り口まわりが完全にシートで被われて周辺道路が封鎖されており、花束やメッセージがテープ周辺や隣接する公園に添えられていた。
今回は取材日程をギリギリで組んでいたため、ほぼホテルと会場の往復しかしていないのだが、パリ滞在の定宿がレピュブリク広場のすぐ隣だったこともあり、少しだけ現場周辺をまわることができた。
滞在中はずっと平穏無事だったというわけでもなく、到着翌日の17日早朝にTVをつけてみると、そこではテロ首謀者とみられる容疑者の自宅を軍隊が急襲する様子がリアルタイム中継されていた。現場となったサンドニ(Saint Denis)は、爆弾テロの行なわれたスタジアム(Stade de France)の北側に隣接する郊外都市であり、このスタジアムは筆者がホテルと会場を往復する列車がすぐ横を通過している。幸い、滞在中は列車の運行にもほとんど支障がなかったものの、危険は常に隣り合わせということを改めて実感できた。