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コンビニで手軽に買える食材をスモークして10倍おいしく楽しむ 第3回

プロの味! ダンボール燻製ハウスと室内用ロースター「けむらん亭」で燻製してみる

2015年12月23日 11時00分更新

文● 柳谷智宣、編集●オオタ/ASCII.jp

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世界初、燻製が作れるロースター「けむらん亭」

 2015年9月に、パナソニックから室内で燻製が作れるスモーク&ロースター「けむらん亭 NF-RT1000」が発売された。なんと、除煙・脱臭機能を備えているという。燻製好きとしては気になっていたのだが、今回実機をお借りすることができたので、チャレンジしてみた。

 「NF-RT1000」の本体は約45.0×35.5×18.5cmと、小さめのオーブン、大き目のトースターといった感じ。重量は5.4kgで、燻製容器が0.5kgとなる。消費電力は1300Wなので、契約アンペア数によってはレンジやエアコンと同時利用すると、ブレーカーが落ちるかもしれない。燻製時の煙は14層の触媒フィルターで軽減し、背面から排気する仕組みだ。

 まずは燻製容器にチップを敷き、網を置く。その上に食材を置き、アルミホイルでフタをしてセット完了だ。電源を入れ、「くんせい」ボタンを押し、時間を入力する。燻製時間は1分から30分までの1分刻みで、押しっぱなしにすると早送りできる。最初は電源を入れてから1~3分は下ヒーターだけで加熱が始まり、煙が出始めるとファンが回り出す。そのため、6分以下に設定した場合は、半分の時間だけ加熱し、残り半分は除煙のみを行なうようになっている。途中でキャンセルしたい場合は、電源ボタンを押せばいい。

 設定時間が経過すると音が鳴るので、燻製容器を取り出し、すぐにアルミホイルのフタを外す。煙に当て続けると酸っぱくなってしまうためだ。

 利用したのは第2回で利用した、さくらのスモークチップ。最初は「紅鮭の塩焼」で試してみる。マニュアル通りにセットし、アルミホイルでフタをする。本体に燻製調理時間の目安が書いてあり、「焼鮭(切身) 12~16分」とある。そこで、今回は15分にセットしてみた。ウリ文句の通り、煙がでない。換気扇さえ回す必要がないほど。これは本当にすごいこと。部屋で燻製、とのキャッチコピーに偽りなしだ。

 15分経つとブザーが鳴るので取り出した。燻製のいい香りがする。いい感じに仕上がっていそうだ。ただ、それほど色が付いておらず、スモークチップもほとんど残っている。そこで、続けていろいろな食材を燻してみた。

パナソニックの「けむらん亭 NF-RT1000」。実売価格は2万5000円前後

扉を引き出すと、受け皿と焼き網、その上にくんせい容器とくんせい網が出てくる

くんせい容器にスモークチップを入れる。約5mmの大きさが推奨されており、砂糖などはこびりつくので入れない

大さじ3杯前後のチップを入れたら、くんせい網をセットする

網の上に食材を置く。最初は「紅鮭の塩焼」でチャレンジ

アルミホイルでフタをする

本体に、燻製時間の目安が記載されているので参考にしよう

「くんせい」ボタンを押してから、三角ボタンで時間を入力し、「スタート」を押す

指定時間が経過すると音がなり、終了する。すぐにアルミホイルを外そう

チーズは失敗、焼き魚は大成功

 次はチーズにチャレンジ。プロセスチーズの目安は12~17分とあるので、15分にセット。結果はデロデロに溶けた溶岩のようになってしまった。これは連続で調理したため、庫内の温度が上がりすぎたのかもしれない。次は、12分でチャレンジ。またもでろでろ。ちょっと時間を置こうということで、ロースターは電源を切って冷やし、チーズは冷凍庫へ。2時間ほど経ってから、再度チャレンジ。今度は短めで9分にした。3度目も溶けてはしまったのだが、まだ原型は残している。しかし、燻製時間が短いので色がそれほど変わっていない。どうしてもパナソニックのウェブサイトにあるようなチーズができなかった。「まろやか6Pチーズ」が溶けやすいのかもしれない。そこで、「明治北海道十勝スマートチーズ」を買ってきて再チャレンジ。第4回目は、目安通りの最低12分。もう、扉を開いた時にぐつぐつ音が聞こえたので期待はしなかったが、溶けていた。ここでギブアップ。

 チキンラーメンは20分ほど燻製しようと思ったら、途中ちょっと焦げ臭い。あれ? と思って開いてみたら、黒焦げになっていた。やり過ぎたようだ。12分で再チャレンジしたらきちんと仕上がった。これを受けてポテトチップスは短めで燻したところ、いい感じに。

 最後に、ロースト機能を試してみることに。鯵の干物を焼き網に乗せて焼いてみた。こちらは「くんせい」ボタンではなく、「オートメニュー」の「干物」を押すだけ。

「まろやか6Pチーズ」を3ピース投入

第1回目は15分、溶けて固まる

第2回目は12分、溶ける

第3回目は庫内を冷ましたうえ、9分。溶けたが原型が残る

別のチーズでチャレンジ

チキンラーメンはやりすぎて焦げた

チキンラーメン再チャレンジ。12分で仕上げた状態

魚を焼く時は、焼き網に直接載せる

実食! 店で食べた上品な燻製の味がする

 紅鮭を食べて、「あ」と声が出た。しっかり燻製されているのに、焦げ臭くない。店で食べる燻製と言ったらこの味わいだよね、という味に仕上がっている。あまりスモークチップが燃えていなかったので、大丈夫かなと思っていたが、それでよかったのだ。おいしすぎて耐えられず、ご飯を用意して頂きました。

 さて、一番期待していたのに、経験不足からかうまく燻製できなかったチーズ。冷えて固まったので、アルミホイルから剥がして食べてみた。1回目の溶岩を切り離して食べたところ、絶品! 平べったく、水分も抜けているのだが、茶色い皮の歯ごたえがよく、燻製感が出ていておいしい。形さえ残っていれば、売れるレベル。2番目は燻製感が少なかった。3番目は色は薄いが、形も残っているし、いい感じ。ただ、茶色い皮がないので、やや物足りなかった。ポテトチップスもスモーキーでおいしい。4回目の「明治北海道十勝スマートチーズ」も引き剥がして食べたら絶品。笑ってしまうくらい、おいしい。もう形はこういうものだと考えればあり。

 最後に、燻製ではなく焼きで仕上げたアジの干物。とてもジューシーに仕上がっており、いつもよりもおいしくできた。ここからさらに燻製してもおいしくなりそうだ。

「まろやか6Pチーズ」でチャレンジした3回分

4回目のチーズ「明治北海道十勝スマートチーズ」。絶品

ポテトチップスうすしお味は煙くていい感じ

チキンラーメンは「燻家」のものよりは燻し感が薄い。その分、最初からおいしく感じる

アジの干物も出色のデキ。コンロで焼くよりジューシーに仕上がっている

 イベントのような感じで燻製を楽しむなら、手軽な「燻家」でいいかも。バーベキューなどのアウトドアで燻製を作ったら盛り上がることだろう。ただし、スモークウッドの追加は3個で実売361円と、普通のチップよりは割高になる。ダンボールもずっと使えるわけではない。日常的に燻製を楽しむなら、「けむらん亭 NF-RT1000」がイチオシ。そこそこの値段はするが、オーブンやほかの家電と比べて、それほど高いわけでもない。何より、煙がほとんど出ないのは驚異的だ。ロースターとしても使えるので、オーブン代わりにもなる。

 以上、3回にわたって家庭内で燻製する技を紹介した。100円ショップから世界初の燻製ロースターまで試したが、やっぱり燻製は美味しい。もちろん、まずくなる食材もあるが、それも面白い。ぜひ時間のある時に、肩肘張らずにチャレンジして欲しい。ハマること請け合いだ。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。


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