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「いいオーディオの基本」と言えるでき

8万円のソニーの本格Bluetoothスピーカー「CAS-1」が安いと言える理由

2015年12月05日 12時00分更新

文● 四本淑三、写真●篠原孝志(パシャ)

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むしろ非ハイレゾ音源を聴くべき

 CAS-1のもっともおいしいところは、Bluetoothを使って、YouTubeやら、聴き放題サービスを聴く場合にあると感じました。つまり日常的なリスニングに向いているということです。

 これは、小音量時の音質に気を使ったパルスハイトボリュームや、ローボリュームモードといった補正機能のおかげもあります。普通の音量でも寂しい音にならない。

 そして、もうひとつ「DSEE HX」という技術がかなり効いています。これは、圧縮音源をハイレゾ相当の高音質に「アップスケーリング」するというエンハンサーの一種ですが、当初、私はこれにまったく期待していませんでした。というのも、以前は効いているのか、効いていないのか、わからない程度の差しかなかったからです。

DSEE HXのオン/オフはAndroid/iOS用のアプリ「SongPal」で操作します。DSEEはDigital Sound Enhancement Engineの略です

 MP3やAACのような音声圧縮技術は、データ量を食う割に人間の耳にはあまり聴こえない高域側のデータを削っていく技術です。ある程度性能の高いオーディオ装置で聴くと、エンコード前のPCMファイルと320kbpsのMP3とでは、高域の成分が欠けていることがわかります。DSEEはそれを補完しようというもので、以前からウォークマンや再生用のアプリに使われていたものです。

 今回のDSEE HXは高域側の欠損だけでなく、サンプリングレートと解像度にも効くようで、44.1kHz/16bitの音源を176.4kHz/24bit相当(元のデータが48kHz/16bitなら192kHz/24bit)に拡張するということです。だからなのか、今回は私程度の耳の持ち主でも、ちょっと良くなっているのがわかります。バリが取れた感じがして、特に音が止んだ直後の残響音の引き具合などは、かなりリアルに感じます。

 コーデックによって圧縮が行なわれるBluetooth接続の場合でも、DSEE HXは効きます。音源によっては、はっきり効くもの、それほど効かないものがあるようですが、お手軽にデジタルリマスターが楽しめる機能としてもおもしろい。

 ハイレゾ対応のオーディオ装置と言っても、大したコンテンツがあるわけでもなく、一般的なユーザーにはメリットを感じにくいわけですが、CAS-1はその御利益があるわけです。

(次ページでは、「なぜCAS-1が安いと言えるのか」)

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