首都直下地震に備えて
今後30年間にM7級の首都直下地震が70%の確率で発生する(中央防災会議)――その被害は、都市部の約5割が停電し、電力供給は1週間以上不安定となり、不通回線は470万、避難者は720万人、帰宅困難者は800万人に上ると予測されている。
同社本社ビルやとう道は震度7の揺れでも崩壊やケーブル損傷を回避できる強度で設計されている。それでも首都圏一帯が完全に麻痺した場合を想定し、「約10km離れた中央研修センタ」「さいたま新都心」「宮城災害対策室」と本社業務を代行できる3重の代替施設が用意されている。
また、大規模災害時に支援要員や復旧資機材を派遣するパートナー支店のルール化を行い、平時から訓練を実施。通信設備を維持・管理するためにドローンを活用する取り組みも始まっている。
重要な通信インフラを担う企業としての責任や重圧はいかほどのものだろう。
とう道においても、通信ケーブルの損傷は24時間365日監視されているが、異常時には速やかに技術者が現場に赴いて対応しなければならない。時には警報システムからのさまざまな数値データを基に、手書きでグラフを書いて、故障場所を特定。故障発生個所が特定されれば、技術者は重い装備を抱え、何kmも小走りで現場に駆け付けることもあるという。
「通信ケーブルの1本1本は細くても、その1本を通して、いまこの瞬間にも人の命にかかわる重要な連絡がなされているかもしれない。そう思うと、絶対に障害を発生させてはいけないとの使命感が燃えたぎる」(NTT東日本「通信サービスの使命 第7回 日々の暮らしの安心を支える通信」より)
いまこの瞬間に電話やインターネットができるのも、そうした努力の賜物なのだ。