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空き駐車場シェアリングアプリ「akippa」に聞く、PayPalモバイルSDKを選んだワケ

シェアリングエコノミー型サービスに最適だった!

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導入事例1 カゴ落ち率の改善に、決済インフラを全面的にPayPalへ移管したakippa

 

akippaのAndroid版アプリ(開発版)

一般的なネイティブアプリでよく見られるような、初回起動時のチュートリアルも入る。

 モバイルSDKの国内導入第1号は、空き駐車場のシェアリングサービスを提供する「akippa」。全国各地にある空き駐車場や個人宅の休眠駐車スペースを1日単位で貸し借りするCtoC型のサービスだ。
 サービス立ち上げの2014年にB Dash Camp 2014 Summer決勝進出、続くIVS Launch Pad 2014 Fall優勝と、スタートアップの登竜門的イベントを経て、評価を高めてきた。今では国内の大手ECサイトや、大手レンタル兼書店運営企業や外資系検索企業経験者などの人材も集まってきている。

 akippaの駐車場料金は1日500円~数千円。近隣のコインパーキング相場に比べ、およそ3割安い低料金で利用できるのが特徴だ。2014年4月のサービス開始から1年半でakippaの拠点数は3804カ所と、パーキング業界では「タイムズ」(約15000カ所)、「三井のリパーク」(約1万カ所)に次ぐ第3位に成長(※)。売り上げは約5倍にアップしたという。
※2015年11月時点、akippa調べ

 akippaは、駐車場を貸す側と借りる側のどちらもがオンラインのみで貸し借りが完結する仕組みだ。清算機はなく、駐車場を借りるユーザーがスマホアプリで予約時に決済し、駐車場のオーナーはそのうち60%を受け取る。貸し手と借り手の間で煩雑なやり取りが一切ないという点で、いわば駐車場版のUber的サービスであり、ビジネスの設計思想自体がスマホネイティブだ。

 akippa代表の金谷氏曰く、PayPal決済を採用した理由は、まさにPayPal 曽根氏の言うような「カゴ落ち率の改善」を狙ってのことだったという。
 akippaではこれまで、決済にクレジットカードとケータイキャリア決済の2種類を選べるようにしており、決済インフラにはPayPalとは違う別のサービスを導入していた。ユーザー行動分析の結果、カゴ落ちの改善は大きな課題になっていた。
「カゴ落ちが多い原因は、2つ考えられました。ひとつは、会員情報などを入力項目が多かったこと。もうひとつは、決済画面で別のサイトにリダイレクトしていたため、ユーザーが不安を感じて決済確定まで至らないのではないかと」(CEO 金谷氏)

akippaの金谷元気代表(左)、執行役員CMO兼事業企画室長の広田康博氏。

決済まで進むと、こんな形でPayPal支払いか、カード支払いかを選択できる。どちらを選んでも、バックエンドはPayPalが処理している。

「カードで支払う」を選んだ画面。akippaでは、カメラで番号を読み取る機能は起動しないように設定している。「スマホにあまり慣れていない利用者を想定して、あえて番号入力は手作業にしています」(金谷代表)

 以前のアプリは開発速度を優先したWebビューの簡易版アプリだったこともあり、2015年末にネイティブアプリ化するのに合わせて、PayPalのモバイルSDKを導入。決済インフラ自体もまるごとPayPalへ乗り換えることになった。

スタートアップにとって、使わない個人情報は、ただのリスクでしかない

 既存の決済インフラからPayPalへの丸ごと乗り換えで不安は感じなかったのだろうか?
 「弊社の場合、すでにakippaサービスを運用中だったので、決済インフラの変更は正直なところリスクの高い変更でした。確かに、モバイルSDKは表面的な実装は簡単にできました。ただ、弊社の場合、駐車場データベースとの内部的な繋ぎこみがあるので、そこの実装はやや工数がかかりました。とはいえ、今回はPayPalに専任エンジニアを付けてもらえたので、開発担当としてはとても助かったというのはあります。電話で年中無休対応してくれるのも安心感がありました」(CMO 広田氏)

 また広田氏は、スタートアップならではの規模の変化と個人情報への対応も指摘する。
 スタートアップ企業の成長は加速度的で、手に負えないほどになる場合がある。個人情報も急速に貯まってくる。万が一、情報漏えいや決済トラブルを起こすと、1ミスで信用を失ってしまうことにもなりかねない。「使わない個人情報なら持ちたくない」というのが本音で、その点でPayPal決済では導入企業側、今回でいえばアプリ内・デバイス内にカード番号を含んだ個人情報を持たないので安心、というわけだ。

 akippaはネイティブ化したAndroid版アプリとiOS版アプリを近日中にデビューさせる。
 将来的には、モバイルSDKのほかに、PayPalアカウントに登録されたクレジットカード情報を使ってワンクリックで決済する「事前承認決済」や、PayPalアカウントを使って会員登録時の情報入力を自動化したり、そのままPayPalをサイトログインに利用できる「PayPalログイン」も活用していく見込みという。

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