G-SHOCKの進化はカシオの進化
──G-SHOCKといえば30代にとってデジタルのイメージですが、アナログ針になっているというのも驚きでした。
いまやG-SHOCKの3分の2はアナログなんですよ。
──意外です。たしかに腕時計市場のほとんどはアナログですしね。
ただ、うちは軽さ命で作っているというのが大きな違いですね。時計の針は重要なファクターなのでいかに美しいか、ということにこだわるメーカーがほとんどですが、G-SHOCKのこだわりは「軽い」。それが最大です。実際、この針はカーボンファイバーで作られてるんですね。カーボンファイバーで作ることで、しなやかでありながら軽く、金属のように曲がりきったら戻らないということにはならない。
──ぶん回されて曲がっちゃったらまずいですからね。普通想定しないですけど。
進化の方向がちがうんですよ。たとえば、マッドマスターではないですがG-SHOCKブランドの1つ「MTG-G1000D」のボタン。あれはシャフトの自重で曲がってしまうのを避けるため、内側を削ってるんです。ステンレス鍛造ですでにすっごいお金と手間がかかってるのに、軽くないとダメだと。
──アナログと知ったとき、最近はG-SHOCKも消費者層に合わせてビジネスシーンに寄せてきているのかなという印象を受けました。でも、そんなことはまったくなさそうです。
「ビジネスも使える?」くらいの範囲なのかなと思ってます。それに、逆に、僕個人の考えとしては、世界中を見たらスーツを着てる人の割合は少ないんじゃないかと思うんです。
──どういうことですか?
たとえば神戸消防局とタイアップしたとき局内にG-SHOCK、あるいはPRO TREKのユーザーが相当いらっしゃって驚きました。マーケットはそっち(現場)の方が大きいんじゃないかと。
──スーツ族ではなく現場に出るプロが仕事で使う「ビジネス」ウォッチであると。それにしても30年間、よくアイデアが枯渇しないものですね。
G-SHOCKは社内でどこからアイデアが上がってきてもいいんです。誰かが独占するわけではなくみんながアイデアを出して作っている。技術者がこれでいきたいと言って採用になることもあれば、デザイナーがアイデアを出して採用ということもある。
──アパレルとのコラボレーションモデルから、今回のやりすぎシリーズまでラインナップ多彩ですからね。
ただ、G-SHOCKは何が新しくなったかをお客さまに期待されるものなので、期待を裏切るようなものは作れない。進化できないんなら作る必要がない。だからカシオで新しい技術ができると、まずG-SHOCKで試してみようということが多いんです。
──逆にいえば、G-SHOCKを見ればカシオ技術の最先端が見えてくると。それにしても、そこまでやらないといけないものですか。
前の進化に次の進化が重なり合って進化していく。だから、1つでも怠ると進化が滞るんですよ。もともと先輩たちがつくってきたG-SHOCKはそういうものだった。やっぱり、その考えを受け継いでいかないといけないんじゃないかと思うんです。
G-SHOCK GWG-1000
防塵・防泥構造(マッドレジスト)
耐振動構造
耐衝撃構造(ショックレジスト)
気圧/ 高度・方位・温度計測機能
電波受信:世界6局の標準電波(日本2局、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ)時刻自動修正(マルチバンド6)
タフソーラー(ソーラー充電システム)
針位置自動補正機能
ケース・ベゼル:樹脂/ステンレススチール
バンド:樹脂
風防:無反射コーティングサファイアガラス
防水:20気圧防水
サイズ/質量:幅59.5×高さ56.1×厚さ18mm/119g