仮想化の最先端を追う!VMworld 2015レポート 第6回
テックギークなCEOから見たITの過去、現在、未来
時をかけるゲルシンガーCEO、デジタル&ネット時代を語る
2015年09月07日 14時00分更新
2日間に渡って行なわれたVMworld 2015の基調講演では、SDDCやEUC(End User Computing)、クラウド、ネットワーク&セキュリティなどヴイエムウェアの各エグゼクティブが揃って登壇した。そして、2日目の基調講演の後半、全体を統括する形で壇上に上がったのがヴイエムウェアCEOのパット・ゲルシンガー氏だ。
爆発的に拡大するネットワーク社会とニューエコノミー
CEOとして4回目の登壇となるゲルシンガー氏は新製品やサービスの話を抑え、ネットワーク時代の現状やデジタル時代における企業のチャレンジなどのトピックに時間を費やした。過去と未来を行き交いながら、デジタル&ネットワーク社会の現状と課題を浮き彫りにするゲルシンガー氏の講演は、ヴイエムウェアの方向性を聴衆にわかりやすく示したと言えよう。
初期のWebブラウザであるMozillaを利用したことのある人に挙手を求めたゲルシンガー氏は、2019年に世界の人口の半分がインターネットにつながると指摘。また、2015年に1人が所有するコネクテッドデバイスの数は3台だが、2020年にはこれが倍になるという。さらにインターネットを介したコマースの規模はすでに世界のGDPの21%に達している。こうしたネットワーク時代のデータをひもときながら、ゲルシンガー氏は一人一人に大きなインパクトをもたらすテクノロジーを作りたいと語る。
テクノロジーの進展は既存の産業構造を大きく変えつつある。たとえば、モバイルアプリのビジネスはすでに映画産業の市場規模を上回っているという。「アカデミー賞を穫った『Birdman』を『Angry Bird』が上回ったということだ」とゲルシンガー氏は語り、聴衆の笑いを誘う。
クラウドとモバイルで実現する「非対称な戦い」とは?
次にゲルシンガー氏は、デジタル世代のビジネスにおいてやらなければならないルールについて説明する。
ゲルシンガー氏は、「18世紀、イギリスとフランスは同じような軍隊を持っており、同じような武器やテクノロジーを持っていた。戦略や戦術が優れていた方が勝っていたということで、これは対称性があった」と指摘する。しかし、同じ規模の軍隊を持たなかった当時のアメリカはゲームのルールを変えながら、戦いに勝ってきたという歴史を持つ。
既存の企業とスタートアップの関係は、まさにこれと同じ関係にある。「失うもののないスタートアップが果敢に攻めてきている。スタートアップは以前からあったが、最近ではモバイルで無限のリーチ、クラウドで無限のスケール、ベンチャーキャピタルで無限のリソースを実現できるようになり、非対称性のある戦いができるようになった」とゲルシンガー氏は指摘する。
現在、あらゆる業界において、こうした非対称性のある戦いが繰り広げられつつあり、ヴイエムウェア自体ももはや守るべきものを持った“既存の企業”として、果敢なチャレンジが必要になると語る。「スタートアップのようにイノベーションにチャレンジしながら、エンタープライズのようにふるまわなければならない」とゲルシンガー氏は指摘する。
(次ページ、これからのセキュリティはアーキテクチャレベルで考える)
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