ダイナミック型とBA型のハイブリッド
もちろんハイレゾ対応のソニー「XBA-Z5」
最後はソニーのイヤフォンとしては最上位モデルとなる「XBA-Z5」(実売価格6万2000円前後)を紹介する。
16mmのダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーの2つを組み合わせたハイブリッド型の3ウェイ構成のモデルで、マグネシウム振動板を採用したHDスーパートゥイーターを採用することで3Hz~40kHzの周波数特性を実現している。
BA型ユニットは独自に開発したリニアドライブBAユニットを採用し、振動板駆動のリニアリティーを高め、より忠実度の高い再生を可能にしている。そしてハウジングはマグネシウム素材を採用。大きなダイナミック型ドライバーはハウジングと一体化することでボディの薄型化も行なっている。
このほか、左右の信号が混ざってしまうクロストークを低減するグラウンド配線を分離させた4芯構造のケーブルの採用など、高音質に徹したモデルだ。
付属のバランスケーブルを使用することで、「PHA-3」などの対応するポータブルヘッドホンアンプと組み合わせたバランス接続にも対応。よりマニアックに高音質を追求できるモデルだ。
ボディーはちょっと大柄な印象で耳からはみ出すような感じになってしまう。ただし、コードを耳に引っかけるような装着方式を採用し、耳に掛ける部分を耳に合わせて自由に形状を変えられる「アジャストフリーイヤーハンガー」を採用しているため、ずれたり外れたりということはない。
コードも表面に凹凸を設け、絡みにくくしたセレーションコードを採用している。4サイズのシリコン系イヤーチップに加えて、3サイズのシリコンフォーム素材のイヤーチップを同梱するなど、高価格モデルだけに装備の充実度は万全だ。
その音は低音の実にパワフルで重量感たっぷり。かといって鈍重な感じではなく、リズムのキレもかなり俊敏。マッシブで動きも俊敏な再現は、ジャズの熱気やグルーブ感を存分に味わえる。
充実した中低音のおかげで音の厚みはしっかりとしているが、細かなニュアンスの再現など、ディテールも十分で聴き応えのある音になる。
クラシックは大編成のオーケストラの存在感がたっぷりの雄大なスケール感が味わえる。ホールの豊かな響きなど空間感の再現性もなかなかのレベルだ。
ポップスでのボーカルは、厚みのある音色もあって情熱的というかダイレクト感のある音になる。まさに目の前で歌っている印象で、落ち着いた女性のバラード曲などは耳元で歌っているような存在感さえ感じる。
同じ高価格帯で比較すると、解像感と忠実度ならオーディオテクニカのATH-CKR10だが、ソニーのXBA-Z5はパワー感やダイナミックさとキレのよさが秀でるという印象になる。
どちらも基本的な実力は十分に高いので、好ましい音質のものを選ぶといいだろう。どちらも、価格的にもApple Music中心でカジュアルに音楽を聴きたいという人には不向きなモデルだが、CDそのままの音源やハイレゾ音源も合わせて聴くという人ならばぜひともおすすめしたいモデルと言える。
(次ページに続く、「低音が足りないな、と思ったら試してみたいテク」)
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