米国のバテル記念研究所は8月6日、地球温暖化の原因となるメタンの排出を抑えるとともに収穫量を向上させた新種のイネが米国やスウェーデン、中国の研究機関・大学とともに開発したと発表した。
メタンは地球温暖化の原因となる温室効果ガスのひとつで、二酸化炭素の約20倍もの温室効果を持つ。また、一方で地球上で排出されるメタンガスの約17%は水田から放出されており、年間で約1億トンにも上る。
水田におけるメタンはイネの根の周囲に生息する微生物が生産しているが、この微生物はイネの生育にとって不可欠なので、米の生産量を落とすことなくメタン発生の削減は難しいとされていた。
米国のバテル記念研究所、パシフィック・ノースウェスト国立研究所は、スウェーデン農業科学大学、中国福建省農業科学院、中国湖南農業大学と共同でメタンガスの排出量削減の研究に取り組んでいた。研究の中で、オオムギが根の微生物から炭素を利用する遺伝子SUSIBA2をイネ(ジャポニカ)に組み込むという手法を用い、中国で栽培比較実験を3年間実施した。
その結果、水田からのメタン発生をほとんど抑えるとともに、イネが取り込んだ炭素によって米の収穫量は1.5倍にもなり、含まれるデンプンの量も高いという結果が得られたという。研究グループでは、ジャポニカ以上にメタンを放出するインディカなどの他の品種への適用や、さらに大きな規模での実験を行ない、包括的に作物からのメタン排出削減の方法を検討しているという。