「フルサイズ」で撮る下北沢
この日、かんちゃんには連載開始以来、初の35mmフルサイズセンサー搭載カメラでの撮影に挑戦していただきました。光を取り込み写真を生成するイメージセンサーのサイズが36×24mmと大きいため、これまでこの連載で使ってきたカメラのAPS-Cセンサー(24×16mm)に比べ、多くの光を取り込むことができます。
主なメリットは、写真の階調が豊かになること、暗い場所での撮影でノイズが少なくなること、同じ画角で比べた場合に小さいセンサーよりも大きなボケが得られることです。多くのプロ・ハイアマチュア向けカメラに採用されているため、「フルサイズ」という言葉に憧れを持っている人も多いのではないでしょうか。
画質面でのメリットは大きいのですが、プロの使用に耐えるため機能・設定が複雑化しやすい、明るいレンズとの組み合わせによりボケのコントロールが難しくなるなど、問題がないわけではありません。これまでの連載では使用を見送ってきましたが、かんちゃんがカメラの操作に熟達してきたこともあり、ようやくの挑戦となりました。
レンズは焦点距離35mmと85mm、どちらも解放F1.8の単焦点を用意。「どちらを使いたいか」と訊くと、彼女が迷わずセレクトしたのは35mmでした。広角と標準域の境目で、スナップには非常に使いやすい焦点距離です。選択の良さももちろんですが、いつの間にか自分の目的に合ったレンズをしっかり選べるようになっているところに、彼女の成長が感じられます。
街中では、第8回で挑戦した絞りのコントロールができるよう、絞り優先(A)モードで撮影を進めていきました。これまでのロケの総仕上げという感じで、必要な場面では露出補正をかけたり、しっかり全景にピントを合わせたい時はF値を上げ、ボケを活かしたいときはF値を下げるなど、かんちゃんもすっかりデジカメの基本を身に着けているようです。
「カメラのことが分かってくると、いろんなところに撮りにいきたい欲も高まりますよね。すごく楽しいです」
結果的に、はじめてのフルサイズ一眼での撮影も難なくこなしてしまいました。これだけできれば、もう立派なカメラ女子ですね。
(次ページ、「『3年間の成長を感じる』」に続く)
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