マウスコンピューター飯山工場で今年も開催

小学生にこそPCは必要なんだと感じた、夏恒例の「親子パソコン組立教室」

文●鈴木誠史/ASCII.jp

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自分でパソコンを作る楽しさ、そしてパソコンでコンテンツを作る楽しさ

 午前9時、マウスコンピューター 小松 永門社長のあいさつから開校式が始まった。「自分で組み立ててパソコンの中身を知ることで、パソコンを好きになってほしい。また普段スマホで動画などを見て楽しむだけではなくて、パソコンでコンテンツを作る楽しさを知ってもらいたい」と小松氏は語る。続いて、「親子でパソコンを組み立てるという体験は、必ずいい思い出になる」と飯山市長の足立 正則氏の話。どの親子も真剣に話を聞いており、子どもたちはこれからパソコンを組み立てるワクワクと緊張感を同時に感じているような、そんな表情に見えた。

マウスコンピューター小松社長。きょうは工場スタッフの作業着で登場

飯山市長の足立氏も応援に駆けつけた

組み立て教室のリーダー・橋立校長先生と、担当の先生たち。子どもたち同様、先生たちもちょっと緊張してる?

パソコンができるまでの工程をしっかり勉強したら、いよいよ工場の中へ!

普段見る機会のないパソコン工場に、子どもたち以上に保護者の皆さん(と、記者一同)の目が輝く

それぞれが自分で注文したパソコンの構成表を持ち、バーコードを読み込ませる

すると、棚のランプが光って必要なパーツが一目でわかるようになっている。女の子たちはていねいに、男の子たちはスピードを競い合うようにパーツをピッキング。「まだ光っているところがあるよ!」と先生が教えてあげるシーンも

自作PCもプラモデルもやらない、それでも「パソコン組立してみたい!」

 工場の見学ツアーとパーツピッキングを終えると、開校式と同じ部屋に戻っていよいよ組み立て開始だ。取材した午前の部は、15組のうち4組がデスクトップ、11組がノートを組み立てた。最も人気だったのは、5組の親子が選んだ15.6型の「LuvBook F」シリーズ。中にはハイエンド機の「MDV ADVANCE」や、G-Tuneブランドのゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i5500」を組み立てた親子もいた。

 先生の指導に従ってひとつひとつ……ではなく、親子で力を合わせてどんどん組み立てを進めていた姿が印象的だった。実はこの親子パソコン組み立て教室の前日、筆者も「組立ワークショップ」でパソコンを組み立てる体験をしていたのだが、気のせいだろうか、筆者よりも子どもたちのほうがドライバーやネジを扱うのが上手いのではと思えてならない。

工場のスタッフが普段使用している静電手袋、静電リストバンドを装着。静電マットの上で作業する

皆、思い思いにパソコンを組み立てている。「どこでどんなトラブルが起こるかわからないので大変ですが、それもまた楽しいです」と、この日はトラブルが起きたマザーボードを予備のものにササッと交換したり、楽しい組み立て教室の裏で先生方の活躍があった

 なかなかに慣れた手付きである(ように見えた)ため、思わず親御さんに「お子さんは普段パソコンの自作をやられたり、プラモデル好きだったりするんですか?」と聞いてみた。すると「いいえ、まったくやらないんですよ。でも、組み立て教室に参加したいと希望したのは本人なんです」と教えてくれた。完成したパソコンはもちろん本人のものにするという。数組の親子に話を伺ったが、これはどの親子もほとんど同じだった。慣れた手付きに見えるほど皆が上手に作業を進められる理由は、組み立てをやってみたい! と真剣な気持ちがあるからだろうと感じた。

マニュアルを確認しながら、CPUはそーっと置いて

CPUグリスを塗る場面。勢いよく出しすぎてしまって先生と保護者も大慌て。写真もブレてしまった

組み立てる以前に、パソコンの内部を見ること自体が初めてという子も多くいた

クーラーマスターのサイドフローCPUファンをBTOで選ぶなど、マニアックな親子も

「デスクトップはノートよりも組立が難しい」と先生は語る。それでも「このパソコンで、マインクラフトをやる!」と意気込む本人は、綺麗にマイPCを組み立てた。Core i7-4790K搭載のハイエンド機なのである

仕上げにロゴのシールを貼る作業! 転写シールのように貼って剥がすタイプのもので、湿気が高い時期は剥がしにくくて難しいんですと先生から興味深い裏話が

9時に始まった開校式から2~3時間ほどで組立が完了。ついにスイッチオン! 無事起動し、一番喜んでいたのは子ども本人でも保護者でもなく先生。「ホッとした~!」。毎年この瞬間は緊張するのだそうで、その分喜びも大きいみたい。すでに子どもたちは初期設定に夢中

完成後は記念写真の撮影大会。女の子は午前・午後の部合わせて6名参加した

参加者全員の組立が完了し、橋立校長先生から修了証書授与! よくがんばりました

とても爽やかないい顔をしています

 「社会人の息子がいます」という先生から、「機会があれば、自分の息子にも体験させてみたかったです。息子が小学生の頃はこういった機会はおそらくなかったかと……」と話を聞くことができた。開校式での小松社長の話のとおりだが、モバイル端末で充分にネットや動画を楽しめてしまうからこそ、子どもたちは自分のパソコンを持つべきなのかもしれない。ネットや動画をスマホで見るだけでなく、パソコンを持てば何か役立つものを作ったり、様々な用途に使ってみたくなるはずだ。それに自分で組み立てたパソコンであれば、きっと長く付き合える相棒となるだろう。「大学まで使ってほしい」と言っていた保護者もいた。

自分で作ったパソコンは自分でお持ち帰り。長く大事に使われるパソコンは幸せだ

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