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業界人の《ことば》から 第153回

ブンデスリーグでも活躍するSAP

岡田武史、自分もドイツの監督だったら楽できた(笑)

2015年07月21日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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データを見るまで気付かないなら、監督失格

 もうひとつは、「ビッグデータから、予測を生むことができると感じた」ということだ。

 岡田氏自身、日本代表監督時代にもデータを多用していたというが、「日本代表ではたくさんのデータが手元に集められ、それを分析していたものの、その使い方の多くは、ミーティング資料としての使い方であった」という。

 試合で右サイドを突破され続けていたことや、どの選手が多く動いていたのか、といったことは提示されたデータからわかるが、「そんなことは見ていればわかる。データを見て初めてわかったというのでは監督失格」とし、「選手たちと、どんな状況であったのかを確認するなど、ミーティングの裏付けのために使うことが多かった」とし、データの活用は事後分析に用いるものだと位置づけていた。

しかしデータは選手のパフォーマンスを裏付け、予測する

 しかし、ドイツでのデータ活用例をみて、それだけには留まらないことがわかったという。

 「それまでは、データからは新たなものが生まれないと思っていたが、ビッグデータから、予測を生むことができると感じた。たとえば、幼少期からのデータの蓄積によって、ある選手は中2日で試合をやるときには走行距離が落ちるということがわかる。その際には、選手を休ませるといったことも可能になる。これは劇的な変化につながる」

 日本代表では、当然のことながら、こうしたデータは活用されていない。

 FC今治は、J1、J2、J3、そして、アマチュアのJFLのさらに下の「地域リーグ」に所属する。いわば5部ともいえる立場だ。

 「5部から成り上がり、10年後にJ1で優勝を争うチームにしたい」と岡田オーナー。そのためには、SAPによるデータ分析は、重要な役割を果たすことになりそうだ。

 岡田オーナーは、「8年後には、スマートスタジアムを構築する。スタジアムほに来ると、空いている駐車場に誘導し、観戦しながら選手の情報が入手でき、飲み物や食べ物、選手のグッズなどは座席にいながら注文でき、食べ物は座席に届き、グッズは家に配送してもらうことができるようになる」とする一方、「今治ラボも設置する計画である。1階には協業しているEXILEのダンススクール、2階にはトレーニングルーム、3階にはSAPによる分析チーム、4階は医療部門。データを蓄積し、日本中のトップアストリートが集う場所にしたい」とし、「SAPには、ここに無料で入ってもらう」と笑う。

 岡田氏は、「スポーツはこれから大きな変化が起きる。データによって新たなものを生み出すことができる。私にはこれまでその感覚がなかった。Jリーグには、数多くのデータが揃っており、環境は整っている。それを将来の予測に活用する必要がある」などと述べた。

 データの活用で、日本のサッカーはさらに進化することになるのか。

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