絞りと写真の仕上がりの関係
今回の撮影テーマは、より本格的な写真を撮るために「絞り」を意識すること。絞りとはレンズの内部にある「絞り羽根」のことで、この開き具合を調節することにより、レンズを通る光の量を多くしたり、少なくしたりすることが可能です。
カメラにあまり馴染みのない人には聞きなれない言葉かもしれませんが、絞りのコントロールは写真のボケ具合やピントの薄さに関わってくる重要な要素です。絞りを開ける(=光を多く取り込む)ほど写真のボケは大きく、ピントの合う範囲は狭くなり、絞る(=光を取り込む量を減らす)ほどボケが少なく、全体にピントの合った仕上がりとなります。
絞りの状態は「F値」として数値化されており、数字が少ないほど絞りが開いた状態、数字が大きいほど絞った状態を表します。最近のデジカメではカメラ本体の設定から数値をコントロールできますが、「F1.4」「F4」など、レンズごとの解放(最小)F値以上に値を下げることはできません。一般的に、解放F値が小さい(=大きくボカせる)レンズほどサイズが大きく、高価になります。
また、F値の設定は全体の画質にも影響します。多くのレンズは、開放F値での撮影よりも、いくらかF値を下げたほうがシャープに写るよう設計されています。解放F1.4程度のレンズであればF4~5.6前後、解放F4のレンズであればF8~11前後に絞ったときが解像力のピークとなりやすいようです。
背景を大きくボカしたいときは解放気味に、都会の街並みをシャープに写したいときは絞って撮影するなど、絞りをコントロールすることで、より自分のイメージに合った写真を撮ることができるようになります。
スカイツリーのような大きな建造物の全景を撮影する場合、ボケを意識する必要はあまりないので、絞りこんでシャープな画を求めることが多いです。今回、かんちゃんにはカメラのモードダイヤルを「絞り優先モード(A)」に設定してもらい、状況に応じて自分でF値を変更していただいています。
ひとしきり説明を聞いたあと、スカイツリーをファインダー越しに捉え、F値を変更するダイヤルを回してはシャッターを切り、できあがった写真を比べてみる彼女。「カメラの小さい液晶で見ても、全然違うんですね」と、仕上がりの雰囲気が大きく変わることに驚いているようでした。
最初は望遠ズームレンズで撮影していただきましたが、ある程度スカイツリーに近付いたところで、やや広角気味のズームレンズを装着。そちらはズームによって解放F値が変わるタイプのレンズだったため、少し扱いが難しくなります。彼女も思い通りの写真を撮るため、試行錯誤を続けているようでした。
「こういう設定を覚えると、もっと写真にこだわれるようになりますね。でも、シャッターを切るまでにすごく時間がかかっちゃいます(笑)」
(次ページ、「『色々な自分を見せていきたい』」に続く)
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