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花澤香菜×AK100IIコラボ、限定曲の収録現場に立ち会う

2015年07月05日 12時00分更新

文● 鳥居一豊、写真●神田喜和

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レコーディングエンジニアの杉山勇司さん

 2015年6月6日、東京・乃木坂にあるソニー・ミュージック・スタジオで、「Astell & Kern AK100II 花澤香菜エディション」がプリインストールするハイレゾ楽曲のレコーディング作業が実施された。楽曲を担当するのはボーカリスト/コンポーザーとして活躍する音楽集団のMili。レコーディングエンジニアは杉山勇司氏となり、192kHz/24bitでの制作となる。

 当日は先にピアノとストリングス(バイオリン・チェロ)の収録が進められた。花澤香菜さんが歌うボーカルパートの収録は後日改めて行なわれるとのこと。筆者がスタジオに到着した際には、すでにピアノ伴奏の収録が8割ほど進んだ状態で、ピアノ奏者のAYAKI氏と録音スタッフが相談しながら、細かい部分を録り直している最中だった。

 本記事は杉山勇司氏のインタビューがメインとなるのだが、まずは録音の様子を紹介しよう。

スタジオでエンジニアが聴く音のリアルさに驚愕

 オーディオ専門誌の編集者時代、筆者はNHK-FMなど放送局のスタジオに何度も足を運んでいた。だから、その雰囲気や調整室の様子は多少わかっているつもりだった。しかし音楽を本格的に録音するスタジオは、これとはずいぶんと違うように思えた。

調整用のミキサー卓は、ハイレゾ録音にも耐えうる100kHz級の周波数特性を実現している。このクラスのミキサー卓を備えるスタジオ自体、あまり多くはないそうだ。

 まず、その音の良さに圧倒される。取材で通されたミキシングルーム(エンジニアが操作する、ミキサー卓などが置かれている場所)と録音ブースは完全に遮音されていて、演奏中の音を直接聴くことはできない。つまりここで聴けるのは、マイクやミキサーを通した音やすでに録音された音のプレイバックとなるのだが、その音は「生の演奏を聴いているようだ」と錯覚するほどリアルなものだった。

 録音ブース内は不要な反響音が収録されないよう、デッドな環境となっているので、本来はもっとドライな響きになるはず。実際に聴いたのも、リヴァーブ(残響)などの調整を済ませた音で、エンジニアの指示に答える演奏者の声や録音前のちょっとした物音から、残響が付加されていることに気付く。

 だから冷静になって聴けば、生の音かプレイバックかはすぐにわかるはずだ。しかしそれでも本物と勘違いしてしまうほどの生々しさがある。現場で聴く音はこうだと伝えようとするエンジニアの意図が感じられたし、響きが美しいコンサートホールを思わせる仕上りだった。

 スタジオには大型のモニタースピーカーも設置されているが、作業にはもっと小型の「MSP7 STUDIO」(ヤマハ製)が使用されていた。ウーファーは6.5インチ(約16.5cm)、ツィーターは1インチ(約25mm)のチタンドームで、多くのDTMユーザーが愛用するモデルでもある。業務用モデルだが、個人で購入することもできる。制作現場では、音の素性を熟知したモニタースピーカーを持ち込むエンジニアも多いそうだ。

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