アートディンクの「A列車で行こう」といえば、29年も続く名作シリーズだ(つまり、来年で30周年!!)。鉄道会社経営ゲームとして、また日本の街を作る箱庭ゲームとして、多くのファンに支えられており、コアな鉄道ファンにとっては「列車運行シミュレーター」でもある。
古くからのPCユーザーなら初代の“大統領列車運行でゴール”を懐かしみ、街作りゲームへと進化した「A列車で行こうIII」(1990年)や「A列車で行こうIV」(1993年)の衝撃を思い出すはず。最近なら、携帯ゲーム機版の「A列車で行こうDS」(2009年)、「A列車で行こう3D」(2014年)に親しんだ人もいることだろう。
その「A列車で行こう」シリーズのPC向け最新版が「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ」として登場した(価格5800円/税別)。ユーザーの要望を取り入れて、1マップあたりの車両保有数を100編成から200編成に拡張。バスやトラックも同様に200台まで運行できる。速度制限設定によって列車の走行情景がさらにリアルになり、建物や景観パーツも大量に追加された。
「A列車で行こう9」は、現時点で「鉄道会社経営ゲーム」「日本の街作りを楽しむゲーム」として究極の作品だ。かつてMS-DOS時代に遊んだり、家庭用ゲーム機版で遊んだりした人、携帯ゲームで初めて「A列車で行こう」に出会った人も、その進化に驚き、新たな興奮と楽しみに熱中すること間違いなしだ。
PCの画面の中で、自分だけの街、鉄道会社を持てる
「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ」の遊び方は大きく分けてふたつある。そのひとつ目は、ゲームに収録されたマップをイジリ倒して遊ぶというものだ。それらマップでは、すでに街が形成されている一方で、過疎化が進んでいたり、大都市の規模に対して列車の運行頻度が足りなかったりと、さまざまな問題を抱えている。プレイヤーは都市に鉄道会社の社長となって関わり、改善し、さらに発展させていく。
もうひとつは、マップコンストラクション機能を使って、オリジナルな都市を作って遊ぶというもの。こちらも「A列車で行こう」シリーズファンに絶大に支持を得ており、PC版についてはコンストラクションをメインに楽しむ人のほうが多いかもしれない。
マップの広さは10×10kmで、鉄道や建物の配置はもちろん、土地の起伏などの地形編集もできる。画面に表示しきれないほど広大で、実際にある鉄道風景を再現すれば強い達成感がある。まったくの架空の街を作って楽しむのも、また格別だ。
「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ」は、鉄道模型のジオラマ作り感覚で遊べるゲームだ。ただし、ジオラマと決定的に違うところは、街が成長、あるいは衰退するところ。列車の運行によって街が活性化すれば、田畑に家が建ち、駅前に商店が建ち、それらはやがて高層マンションやビルへと変わっていく。列車の本数が足りないと、逆に衰退してしまう。そんな街の歴史、ランドスケーブの変化を楽しむゲームともいえる。
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