このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

アプリ開発、ビッグデータ、IoEのマーケットプレイスをISVと提携し開設へ

IoEに適したクラウドへ、シスコが「Intercloud」強化を発表

2015年06月15日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

なぜIntercloudは「IoEに適したクラウド」なのか?

 シスコ グローバルクラウド&マネージドサービス担当SVPのニック・アール氏は、Cisco Liveでの講演において、あらゆるクラウド基盤を「単につなげる」だけでなく「すべてのクラウドにわたって、プライベートクラウドと同一のセキュリティ、ポリシー、管理、コントロールを適用できる」点にIntercloudの核心があると語った。

Intercloudは、複数種のクラウドを1つのものとして扱えるようなアプローチを取っていると説明

 さらにアール氏は、将来的にIoEが浸透していく中で、データとアプリケーションがあらゆる場所へと分散していく「ハイパーディストリビューテッド(超分散)」な状況が生まれることも指摘する。これにより、データセンター以外の場所においても、マイクロサービスの動的な結合によるアプリケーションの実行や、リアルタイムなデータアナリティクスの能力が必要になる。

 そのため、フォグコンピューティング(関連記事)も含め、“超分散”環境全体に同一のポリシーやセキュリティを適用して統合管理できるIntercloudの利点を強調した。

IoEの世界では、アプリケーションやデータがよりエッジに近い側に配置される「ハイパーディストリビューテッド(超分散)環境」が生まれる

Intercloudエコシステムの“最後のピース”開発者への取り組み

 クラウドサービス担当VPのピーダー・ユーランダー氏は、Intercloudのエコシステムで欠けていた“最後のピース”がアプリケーション開発者であると語り、今回発表されたIntercloud Marketplaceを含む、開発者に対するシスコおよびIntercloudのプレゼンス強化の取り組みを説明した。

企業と開発者のイノベーションプラットフォームとして、IoT対応、セキュリティ、管理性、コラボレーションといった能力を持つIntercloudを提供していく

 前述のとおり、同マーケットプレイスでは、開発プラットフォーム、ビッグデータ/アナリティクス、IoEクラウドサービスの3領域にフォーカスしている。これは、とりわけ開発者が“企業、ビジネスのデジタル化(Digitization)”やIoEの取り組みを推進するうえで優先度の高いソフトウェアを選んだためだと、ユーランダー氏は語る。

 また、第一弾として発表されたISVの数は35だが、125ほどのISVが追加予定に入っているとして、同マーケットプレイスでは「数年のうちに、カタログアセット(ソフトウェアやサービス)は数千に上るものになるだろう」と述べた。シスコが提供するIoE関連ソリューションはすべて、同マーケットプレイスからも提供するという。

 「Intercloud、ビッグデータ、開発者の3つを組み合わせることでIoEが可能になる。そして、企業がビジネスプロセスを再定義するためのイノベーション力を取り戻すことができる」(ユーランダー氏)

 シスコでは、昨年から開発者向けポータル「DevNet」の提供もスタートしており、現在は33万ユーザーが登録しているという。DevNetでは、トレーニングコンテンツやサンプルコード、PoC環境として利用できるサンドボックス、開発者どうしのコミュニティ基盤などが提供されている。Cisco Live会場でも大規模な「DevNet Zone」を設け、ISVパートナーによるブース展示のほか、講演、ハッカソンなどが催された。

Cisco Live会場には大規模なDevNet Zoneも設けられた。会期中にはアプリケーション開発コンテスト(ハッカソン)も開催、開発者支援の姿勢を示した

 「競合他社とシスコの取り組み方は少し異なる。シスコは多数のパートナー、多数の顧客を抱えており、よりシステマチックに、クラウドやIoE、産業のデジタル化といったものにフォーカスして取り組んで行く。開発者向けCCIE認定のようなものも検討している。DevNetはファーストステップであり、5年をかけた取り組みの最初の1年目として、大きな成果を上げられたと考えている」(ユーランダー氏)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード