──今後Vivaldiのユーザーが増え、ビジネスとして大きな存在になってもこの考えは変わりませんか?
株式公開以降にはいろいろなプレッシャーが生じて、そこからブレが出てきてしまうことがあります。Vivaldi Technologiesが大きくなったときもできればIPOをしないで、パワーユーザーに向けにVivaldiを開発して、自分たちが本当によいと思い、ユーザーから支持を受けられる製品を作り続けられる会社運営をできればいいなと思っています。
──Vivaldiという名前はやはり、バロック音楽を代表するアントニオ・ヴィヴァルディにちなんでいるのでしょうか。
名前を考えているときには、世界中どこに行ってもみんなが知っている名前にしようというコンセプトがあったんです。Vivaldiなら世界中で知名度がありますし、われわれがやろうとしている革新性という意味でもマッチしています。当時ヴィヴァルディの音楽は非常に革新的で、今のわれわれにとってはクラシック──それってなんかいいなぁ、と。結果1カ月以上いろいろ考えてテッツナーが見つけたVivaldiに落ち着いたのですが、僕が考えた名前は全く通りませんでしたねぇ(笑)。
目的をもって使う人にこそ、Vivaldiの価値が出る
何となくVivaldiをダウンロードして少し使ってみても、正直なところ、魅力がきちんと伝わるとは思えない。それは、Vivaldiがあくまでパワーユーザーの求めるカスタマイズ性を重視したブラウザーであって、何となく使うものではないからだ。例えばレンダリングが少し速いからといって、一般ユーサーがわざわざブラウザーを乗り換えたりするだろうか。
一方でブラウザーに対して「もっとこうだったらいいのに!!」という明確な欲求のある人は、Vivaldiに注目してもらいたい。まだテクニカルプレビュー版なので詰めが甘いところもあるが、Vivaldiの目指すところはそうしたニーズに応えたブラウザー作りにある。Vivaldiは使い込めば込むほど味の出る、まるでスルメのようなブラウザーなのだ。
Vivaldi COO, Co-founder 冨田 龍起氏
中部電力退社後、2001年にノルウェーのオスロでOpera Softwareに参画。経営メンバーとして、OperaのIPO、日本を含むアジア各国、北米での現地法人立ち上げやジョイントベンチャー設立、M&Aなどの業務に携わる。2014年、Vivaldiを共同創業者として立ち上げ、現在はCOOとして、戦略立案、パートナーシップ、マーケティング全般を担当。シリコンバレー在住。北海道大学経済学部卒業、UC Berkeley Haas School of Business MBA for Executive在籍。