NECPCが抱えていた、日本的な3つの課題
「和魂」の要になるのは、やはり、NECパーソナルコンピュータということになるが、2011年7月のジョイントベンチャーの開始以降、同社は大きな変革に挑んできた。それは、レノボが持つ効率的なビジネススタイルを注入するという取り組みでもあった。
留目社長は、もともとはレノボ・ジャパンに在籍していたが、2011年からは、NECパーソナルコンピュータの取締役を兼務。直近までは、NEC レノボ・ジャパングループにおいて、両社のコンシューマ事業を統括する立場でもあった。
そうした立場から、この数年に渡るNECパーソナルコンピュータの改革について次のように語る。
「NECパーソナルコンピュータは、伝統的な日本企業の色合いが強い企業。強いものもあるが、改革すべき点があったのも確か。効率化と成長、利益のバランスを取る必要があり、歪みを是正する必要があった」
NECパーソナルコンピュータには、「伝統的日本企業の紙と会議体の文化」「保守的なセキュリティ制限が多い仕事環境」「自社独自の生産管理システム」という3つの課題があったという。
紙と会議の非効率を改善
「伝統的日本企業の紙と会議体の文化」では、会議のやり方そのものを変革してきた。両社の社員が集まって会議を行う際には、レノボ・ジャパンの社員は、全員がノートPCを持って会議に参加していたのに対して、NECパーソナルコンピュータの社員は、大量の紙の資料を持って会議に出席。それを配りながら会議を行う仕組みだった。
そこで、NECパーソナルコンピュータの社員に対して、モバイルPCを導入。紙を使った会議文化を無くす一方、コラボレーションツールを採用して、双方のシステムを接続し、コラボレーションの活性化を図った。
いまでは大量の紙を配布して会議を行うというスタイルは改善され、ノートPCやタブレットが会議では活用されているという。
営業報告に即日性を要求
2つめの「保守的でセキュリティ制限の多い仕事環境の改善」という点では、2014年度から、コンシューマ向け営業部門に対して、200台弱の8型のLaVie Tabを導入。同時に、UC(ユニファイド・コミュニケーション)も導入することで、営業活動の効率化を図ったことをあげた。
従来の仕組みでは、量販店担当の営業は、販売店を訪問したあとに、オフィスに戻り、レポートをまとめ、上司に報告するという仕組みだった。
だが、タブレットを利用することで、訪問したその場で、レポートをまとめて報告。翌日までかかっていた報告のリードタイムが短縮するとともに、情報がすぐに共有でき、さらに、社内で共有する情報のボリュームも増加したという。
「製品に特定の不具合があった場合の対処や、売れ行きには、どんな傾向が出ているのか、といった販売現場の状況を生産拠点にもフィードバックし、すぐにアクションにつなげることができる。また、営業が移動中に、レポート作成の仕事ができるようになったため、訪問件数の増加につなげることができた」という。
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