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業界人の《ことば》から 第140回

NECPCが抱えていた、いかにも日本的な3つの問題点

2015年04月22日 12時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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そしてシェアが大きく拡大する

 こうした効率的な営業活動はシェア向上にも直結したと自己分析している。

 今年3月には、2社合計の量販店シェアが、ジョイントベンチャー開始以来、過去最高となる40%を突破したのがその証だとする。

 さらに、社員自らが、最新のIT環境を活用することは、社員のモチベーション向上にもつながっていると分析する。

 今後は、この仕組みを利用して、販売店へのトレーニングにも活用する計画だ。

個人のライフスタイルを変革する、というのも重要なキーワードだ。

 留目社長は、「NEC レノボ・ジャパングループでは、コンシューマ市場向けのメッセージとして、Digital Dramatic Daysを掲げている。デジタルライフの提案をしっかりと普及させたいと考えている。そのためには、販売店を通じて、ユーザーに対するメッセージを発信してもらうことが有効。販売店に、Digital Dramatic Daysとはどういったものかといったことを浸透させるためのコンテンツを用意していく」という。

 営業部門へのタブレット導入は、まずは最も組織の大きいコンシューマ営業から導入を開始したが、今年度の早いタイミングで、エンタープライズ営業部門にも、200台弱の規模でタブレットを導入する計画だ。

グローバルのサプライチェーンに米沢を組み込む

 そして、3つめとなる「自社独自の生産管理システム」では、レノボグローバルのサプライチェーンと、米沢事業場の生産システムを接続。これによって、ThinkPadの米沢生産を可能にした。この基盤をベースに、今後は、x86サーバーの米沢生産の実現にもつなげていくことになる。

日本企業がグローバルの考え方を取り入れる。これが合弁が成功した秘訣かもしれない。

 ここでは、PDM(プロダクトデータマネジメント)分野において、レノボのツールを、NECパーソナルコンピュータでも活用できるようにし、製造部品などの設計データであるBOM(部品表)を両社で共有化。さらに、両社の異なる設計文化を統合し、開発プロセスも統合する方向に踏み出している。

 また、米沢事業場が得意とする「改善活動」に基づく生産システムを生かし、それをレノボのグローバルな仕組みのなかで生かしていくことも考えているという。

企業文化の融合はファーストステージ

 留目社長は、2011年7月にジョイントベンチャーを開始し、これまでの約4年間の期間を、ファーストステージを位置づけ、NECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンの文化の統合を図りながら、成長を遂げてきた時期と総括する。

 そして、「これからのセカンドステージは、これらの実績をもとに、さらに成長を加速させることになる」と留目社長は語る。

 「和魂洋才」を切り口に展開できる唯一のPCメーカーがNEC レノボ・ジャパングループ。両社のいいところを生かしながら体質改善と遂げた4年間の経験によって、次なる成長ステージに向かう準備は整ったようだ。

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