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編集者の眼第55回

ポケットに入る情シスLinkSprinter 300を使ってみた

2015年04月23日 11時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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クラウドが普及すると「IT」に苦手意識のない企業ほど情シスは不要になる。ファイルサーバーはDropboxで済むし、オフィスソフトのインストールやライセンス管理は、Googleドキュメントならそもそも要らない。プリンターのないオフィスも増えているから、複合機のリースやメンテナンス事業で食っている会社には死活問題だろう。

とはいえ、最低限のITインフラは残る。フロア当たりのスタッフが200〜300人程度であれば、数台の無線LANアクセスポイントでインターネット接続の環境を提供できる。だが、大企業や事業が軌道に乗ったベンチャー企業のように、オフィスが複数階に分かれれば、コアスイッチやフロアスイッチといったネットワーク機器が必要だ。機器が増えれば故障も増えるが、ITの専任スタッフを置けば人件費がかさむ。フルーク・ネットワークスが3月に発売した「LinkSprinter 300」は、そんな時代にふさわしい製品だ

フルーク・ネットワークスのネットワークテスター「LinkSprinter 300」

LinkSprinter 300は、クラウド対応のネットワークテスターだ。本体には、PoE(Power over Ethernet)、リンク(ケーブルに信号を流せるか)、DHCP(IPアドレスを取得できるか)、ゲートウェイ(インターネットとの接続点まで通信できるか)、インターネット(www.google.comにアクセスできるか)を示す5つのLEDアイコンがあるだけ。ネットワークテストの詳細は、フルークが提供しているクラウドサービス「LINK-LIVE.COM」のダッシュボードに表示される。

LinkSprinter 300の本体には電源ボタンとLEDアイコンが5つあるだけ

LINK-LIVE.COMでネットワークテストの結果を見るには、ユーザーアカウントと機器の登録が必要だ。「Essentials」と呼ばれるユーザーレベルは無償。年間10台までを6000円(税別)で利用できるユーザーレベル「Job Pro」では、テスト結果をフォルダで分類したり、PDF、CSVでレポートを出力したり、テスト結果に写真を添付したりできる。

LINK-LIVE.COMのダッシュボード

クラウド化したネットワークテストとは?

LINK-LIVE.COMの使い方は簡単だ。登録済みのLinkSprinter 300をLANケーブルでスイッチにつなげて電源ボタンを押すと自動的にネットワークテストが始まる。正常ならテスト結果はメールで送られてくるので着信音で「あ、つながっている」と分かる。

インターネットにアクセスできるネットワークであれば、すぐにテスト結果がメールで送られてくる

だが、ネットワークに障害がある場合はどうなるのだろうか? ネットワークテスターが活躍するのは障害発生時だが、ネットワークに接続していないと結果が分からないのでは使い物にならない。実はLinkSprinter 300には無線LANのアクセスポイント機能があり、手持ちのスマートデバイスの無線LAN設定から「LinkSprinter」を選び、ブラウザーで「172.16.9.9」にアクセスするとLinkSprinter 300のテスト結果にアクセスできる。PoEの電圧、リンク速度、DHCPサーバーのアドレスやLinkSprinter 300が取得したIPアドレス、ゲートウェイとして使われているスイッチのメーカーや型番もわかる。また、ケーブルが途中で断線(オープン)していたり、ショート(短絡)していたりする箇所も診断できる。

PoEに対応していないネットワークなので「0V」と表示されている

本体に2メートルのLANケーブルを接続し、スイッチから外した状態でケーブルの状態を調べたところ、ケーブルそのものは正常だが、長さは「2.4m」と表示された

兼任のIT担当者や不慣れなインフラでのネットワークテストに最適

フルーク・ネットワークスは、高機能なネットワークテスターで定評のある老舗企業だ。だが、高機能なテスターを使いこなすにはデータリンク層からアプリケーション層までの幅広い知識が必要だ。一方でLinkSprinter 300は、あえて乱暴に表現すれば「ここからグーグルに接続できるか?」を調べるだけの機械だ。ほぼ全ての企業にとって、グーグル(に代表されるクラウドサービス)に接続できれば、ITインフラの役割としては正常。ネットワーク障害の発生時、グーグルに接続できるなら、問題は他のサーバーにあると思っていい。社内に目を向けてインターネットとの接続点であるゲートウェイは正常に稼働しているのか、DHCPサーバーからIPアドレスは取得できているのか、ケーブルが断線していないか、そもそもケーブルが抜けていないか、を一度にテストできるLinkSprinter 300は、兼任のIT担当者にとって面倒を一度に済ませてくれる優秀な部下のような存在だ。また、会社合併などでネットワーク設計を詳細には把握していない拠点での障害に対処しなくてはならなくなったベテラン管理者にも、とりあえずネットワークに接続してテストすることで、基本情報が手に入る。イベント会場など、一時的なネットワークの敷設が終わった後、LinkSprinter 300で接続を確認すれば、LINK-LIVE.COMに証拠が残る。「本当に確認したのか?」と後から上司に突っ込まれても安心だ。

LinkSprinter 300

また、フルーク製品にしては珍しく、アマゾンでも購入できるのが嬉しい。ケーブルテストに対応するLinkSprinter 300は実勢価格5万3000円、ケーブルテスト機能のないLinkSprinter 200は同3万円台後半。「ポケットに入る情シス」としては悪くない価格設定だ。

■Amazon.co.jpで購入

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