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旅客機の姿勢を制御する翼の可動部を間近で見てみた

2015年04月04日 15時00分更新

文● 伊藤 真広 編集●北村/ASCII.jp

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翼を動かし方向転換!

 滑走路から飛び立った飛行機は、そのままの状態ではまっすぐ飛ぶだけで、いつまでたっても目的地に着くことはない。目的地に向けて飛行機の進路を変えてあげなければならない。車であればハンドルを左右に回せば進行方向を変えられるが、飛行機は旋回することで進行方向を変える。

 飛行機には主翼、水平尾翼、垂直尾翼の3つの翼があり、そのうち主翼と垂直尾翼が飛行機の旋回に使われている。

各パーツの名称と役割(画像提供:JAL)

 主翼の旋回装置のエルロン。このエルロンは、パイロットが操縦桿を動かすことで稼働する装置で、エルロンは左右の主翼にそれぞれ付いている。操縦桿を機体を向けたい方向に動かすと、飛行機は傾いて(ロール)進行方向を変える。

 エルロンは、翼の内側と外側にあり、低速時には内側と外側の2つを使い、高速になると内側のみを使用する。外側を高速時に使用しないのは、強い力がかかることで翼がねじれてしまうことを防ぐためで、一定の速度を超えると外側のエルロンはロックがかかるようになっている。

主翼の外側にあるエルロンの動き。左右で逆に動くことで飛行機の旋回に使用する

 垂直尾翼の旋回装置はラダー(方向舵)と呼ばれ、操縦席の足元にある2つの方向舵ペダルを踏むことで稼働する。船の舵と同じ動きをするラダーは、左のペダルを踏むとラダーが左に折れて、左へと飛行機の向きが変わり、右のペダルを踏み込むと右へと飛行機の向きが変わる。

垂直尾翼のラダー(方向舵)

小さい動きだと思っていた筆者は、思ったよりもガッツリと動くラダーに驚いた!

 エルロンとラダー、2つの方向を変える装置が用意されているのは、1つにはどちらかの機能が故障しても大丈夫なように、もう1つは高速で飛ぶ飛行機をできるだけ安定した状態に保ったまま方向を変えるためだ。

旅客機のブレーキは車と同じ?

 ここからは、飛行機が着陸して止まるまでの方法を説明しよう。飛行機が止まるための装置は、先に紹介したエンジンのスラストリバーサーのほかに2つある。

 1つは、翼の付け根の部分に左右1つずつ備える主脚のブレーキ。もう一つは、主翼に取り付けられているスポイラーだ。

 まずブレーキだが、これは大きさが大きいだけで、自動車のディスクブレーキとほぼ同じ構造なので詳しい説明は省く。

巨大なタイヤは1脚につき6本。ブレーキは一般的な自動車と同じで、ABSを搭載している

 飛行機独自の制動装置となるスポイラーだが、これは着陸すると、自動的に展開する。主翼の上部に付いている7枚の板が立ち上がることで、空気抵抗を増やし、飛行機の揚力を失わせる。揚力がなくなりタイヤにかかる荷重が増すことで、ブレーキの効率を高める補助装置となっている。

空気抵抗を使い揚力を減らしてブレーキ効果を高めるスポイラー。真ん中の1枚は、コンピューター制御のフライ・バイ・ワイヤーではなく、 有線操作が可能。これは、安全対策のため。フライ・バイ・ワイヤーになにかしらのトラブルが起きてもこの1枚は動き、かつ、この1枚で減速も方向転換も可能だという

操縦室から見た風景と飛行機の動き

 飛行機がいかにして飛び立ち、飛行中に姿勢を制御し、地上に降りて停止するか、ここまでの説明でご理解いただけただろうか。そんな複雑な飛行機の挙動を制御しているのがパイロットだ。そのパイロットが座る操縦席を見てみよう。

 今回は特別に操縦室に入れていただき、飛行機を安全に飛ばすための工夫について教えてもらった。その中で、最も感心したのが、飛行機を操縦するために多数あるスイッチの形状が一つ一つ違うこと。それらのスイッチ類は、装置を連想させる形に近づけているのだ。

男の子だったら一度は憧れるコックピット。思っていたよりも視界が悪く、着陸後に綺麗にエプロン(駐機場)に横付けする技術の高さに驚いた

実際にスポイラーを稼働させてる様子。コックピットの窓からスポイラーが動いている様子

 ちなみに、記事でお見せしたような詳細な見学は通常できないが、格納庫見学や飛行のメカニズムを学ぶJALの工場見学が無料で開催されているので、興味ある人は参加してみるといいだろう。

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