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TOKYO AUDIO STYLE 第2回

「いい音」を探る楽曲制作プロジェクト

作曲現場からオーディオまで、プロが思う「いい音」とは

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ラックスマンの小島氏、サウンドプロデューサーの与田氏、作曲家の山田氏による対談はまだまだ続く

 前編では、このプロジェクトの成り立ちなどを紹介してきたが、後編は3名による対談の続きを掲載していく。「いい音」で楽曲を制作するには、どのような手順で進めていけばいいのか、具体的な話が中心になっている。

作曲の段階から「いい音」とは? を考えてみる

山田 今回、作曲で必要なのは、ただ単に音符の部分だと思うんですよ。そうなってくると、いままでに考えたことのない悩みになってますね。いい音を意識しての作曲ってどういうものだろうって考えると、いちばん簡単に思いつくのはとにかく音数は少なくってことですよね。

小島 だからといって、アコースティック楽器を積み重ねることだけがセオリーではないと思うんですよ。

山田 そうなんですよ。いわゆるソフトシンセで作った楽器音だけだったら、デジタルなのでノイズがないじゃないですか。そういうものと全部実際の楽器で録音した音は全然違うじゃないですか。それくらい極端にやらないと差が出ないかもなって。

小島 たとえば録音したアコースティック楽器がいいか悪いかっていうのは両方あると思うんです。生の楽器を録ると当然、周りの音まで入ってしまいますよね。それが最後まで残ることで雰囲気になることもあります。逆に単純に打ち込みだけで作ったような無機的な音が、単にノイズが少ないから高音質に適してるとはいかないと思うんです。自然さがいい音につながるというか、ナチュラルであることがいい音というのがひとつゴールになるといいかなと思いますね。

山田 聴く人のいい音の基準がどこなんだろうって考えてしまうんですけど、趣味程度に聴かれる方だと、割と最近流行のミックスやマスタリングで過剰な音圧でパワフルに聞こえるものを「いい音」と言ったりするのかなって……。

与田 難しいね。「いい音」なんてわからないよね(笑)。

山田 曲はどのような状態でお渡しすればいいですかね?

与田 松井くんがアレンジをするのであれば、薄いリズムとコードとメロディーでいいと思います。

山田 まったく余計な手を加えないほうがいいってことですね。作曲家的には、それをあらかじめ聞いておけるだけでもありがたいです。

与田 結局、なんでも松井色にしちゃうからね。だから、ここで、例えば「こういう方向性の曲を作ってください」って歩み寄っちゃうと面白くないかなって思います。

小島 そうだと思います。

与田 AKBの曲は井上ヨシマサさんが多いよね。まぁでも、ヨシマサさんとか林 哲治さんなんかはいい曲作るよね。いい曲というか、音楽的に整っていますよね。きちんと歌うと膨らむようにコードができている。メロディーってルート(和音の根音)に対しての音の関係性の連続だから、この関係性をきちんと作っていないとダメなんだよね。「ラ」だけを「ララララ」と出しても変わらないけど、その「ラ」に対して「ミ」や「ド」を組み合わせることでメロディーになるので、その両方を動かせるのが真の作曲家だと思います。

山田 安いオーディオで聴くとベース音などが聞こえなくて、コード感がわからない曲があったんですよ。それを若い頃に聴いたとき、なるべくメロディーだけでもわかるような曲にしないとなって思ってやっていた時期もあるんですよね。コード進行に頼っちゃいけないというか……。

与田 でも、基本的にはコードだと思うよ。筒美京平さんなど、長く作曲をやってる人はコードに対するこだわりが半端じゃないよね。同じメロディーでも、ルートをどこに置くかで変わる。一音だけだと、そこには悲しみも喜びもないけど、下につくルート音によって変わるんだよね。そういうイメージで落とせる曲になればいちばんいいかな。

(次ページでは、「制作現場でも見られる『いい音』に対する認識の違い」)

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