最新のWhole Foods Marketで早速お会計でしたが…
9月9日のプレゼンテーションでApple Payが発表されたとき、対応する小売りチェーンのラインアップ紹介でひときわ歓声が上がったのがWhole Foods Marketでした。オーガニック、ベジタリアン、サステナビリティーなどのキーワードが、高いブランドを作り上げた高級スーパーです。
筆者が住むカリフォルニア州のバークレー市は、UCバークレーというカリフォルニア大学の本校がある都市です。この学校は1960年代、ベトナム反戦などを訴える学生運動が起こった土地。またUNIX OSの支流である「BSD」が開発された場所でもあります。Mac向けのOS XもBSDの子孫を元にしています。
古い学際都市ですが、フリースピーチ、反骨精神、サステナビリティー、そしてインターネットなどの新しいこと、異なっていることに対して寛容な土地柄といえるでしょう。Whole Foods Marketもなじみやすい場所かもしれません。
バークレーにはそんなWhole Foods Marketが既に1店舗ありましたが、市内の北西部に新たな店舗が11月4日にオープンしました。なんと、自前のコーヒー焙煎所を備えており、西海岸のコーヒー本を夫婦で手がけた筆者としては、Apple Payとともに魅力的な場所の予感。
オープンしたての店舗内は開放的で、自然光に立派な野菜たちが照らされ、買わなくても楽しくなってしまう雰囲気でした。普段1ポンド(454g)で17ドルもする分厚いステーキ肉が10ドルに値下げされていたり、オープン記念のセールも見られます。お買い物をしつつ、焙煎したてのコーヒーを楽しむことにしました。
スーパー側のお会計でApple Payに挑戦。普段クレジットカードを自分でスキャンする端末が、実はNFC対応のものになっていて、iPhoneをかざすと画面に先ほど登録したカードが表示されます。そこでTouch IDの認証をかければ支払い終了。
しかし今回は買い出しを兼ねていて、お会計が100ドルを超えていたので、iPhoneをかざした決済端末上でサインを求められました。まあ自分で持ってきたエコバックに店員さんがつめている間に平行してサインをしたため、待ち時間こそありませんでしたが、もっと少額で試せばよかった、と思いました。
サインを求められたことで、改めて、日本のおサイフケータイや交通系ICカードとは異なり、クレジットカード決済をあくまでカードレスにした仕組みであることに気づかされる結果となりました。いえ、そこまでがっかりしているわけではありません。財布をポケットから取りだした上で、カードを引きずり出す必要がなかったことは、荷物を持ってレジに並んだ筆者にとっては楽だったわけです。
Apple Payについては、財布に触れない快適さと、しかしカード決済そのものという変わらない部分の両面が見られました。もう少し、普段の生活の中で使い続けながら、気づきを貯めていきたいところです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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