
Blue Bottle CoffeeはSquareを導入しており、「Square Order」が使える(写真はSquare Stand)
2015年が明けた。今年も早々に「International CES」のニュースが登場して、あっという間に3月初めの「Mobile World Congress」へと時が過ぎて行くのだろう。2015年になったが、今回は2014年末の米国でのモバイル決済取材で感じたことを記したい。
やはり注目されたのはAppleだった2014年
2014年を振り返ってみると、スマートフォンそのものよりもスマートウォッチやウェアラブル製品、VRなどの新しいガジェットが見出しを飾った。しかし、これらの新しいカテゴリーはまだ主流ではない。そんな中、しっかりと話題をさらったのは秋に登場したAppleの最新iPhoneだった。
Androidはシェアは伸びているがベンダーの動きはSamsungの一人勝ちが続き、だがそのSamsungの次の一手は……という印象だ。そして、Xiaomi。中国と数ヵ国だけを市場とし、米国で展開していない中でのシェア3位は驚きだが、経済全体の流れを象徴しているのかもしれない。
iPhone 6とiPhone 6 Plusは、年末になっても人気が衰えることはなかったようだ。米国の消費者を調査したPiper Jaffrayによると、iPhone 5sのときと比較して、iPhone 6は発売後の購入意向が下がっていないとのこと。
iPhone全体の購入意向はiPhone 6発表前の43%から発表後は47%とアップ、12月には50%に上がったという。買い替えサイクルもあって、新しいものを求めていたユーザーに画面の大きなiPhoneは目新しさを提供したのかもしれない。一方のAndroidは12月に43%……これはiPhone 6発表後の46%から3ポイント下がった数字だ。
そのiPhone 6/iPhone 6 Plusの重要な機能が、NFCを利用した決済機能「Apple Pay」だろう。11月にサンフランシスコに滞在した際、モバイル決済の空気が変わってきたように感じた。Apple Payに対応しているショップの店員はすべてApple Payを知っていたし、顧客の利用はそれほど珍しくないようだ。
Apple PayはNFCを利用しているので、同じリーダーで「Google Wallet」も利用できる。このあたりのレポートは、週アスPLUSの記事も合わせて読んでいただけると幸いだ(関連サイト)。
NFCだけが”モバイルで支払う”ではない
だがモバイル決済はNFCを利用するものだけに限定されるのではない。たとえばStarbucksではスマートフォンに表示した会員固有のバーコードで決済ができ、これもモバイル決済の一種である。利用にはStarbucksアプリにクレジットカードかPayPalアカウントを紐付けしておくだけ。レジで注文し、バーコードを見せると店員がこれをスキャンして支払い完了となる。
Starbucksアプリは米国におけるモバイル決済の成功例といわれている。人気の理由はこれが単純で、12杯購入すると13杯目が無料になるからだ。もっとも、アプリを開きメニューの中から支払いを選択するというステップを、面倒臭いと思う人もいるかもしれない。
サンフランシスコではアイルランド出身の20代前半のCollision兄弟が立ち上げた決済サービスベンチャー、Stripeも訪問した。ウェブベースでサービスを提供する企業向けに、容易に決済機能を加えることができる機能を提供する。兄のPatrick Collison氏が、自身がティーンエイジャーの時に作成したソフトウェアを買いたいという人が現れたときに、決済機能を加えることが難しいと気がついたのがきっかけという。
Uberの競合とされる、タクシー配信サービスのLyftはStripeの顧客だが、ユーザーから乗車料金を徴収し、コミッションを差し引いた額をタクシー運転手に支払うという2つの決済が生じる。Stripeのようなサービスがなければ、決済部分をどうするのかが足を引っ張り、迅速にサービスをローンチできなかっただろう。
ちなみに、そのUberをサンフランシスコで利用したが、配車は数分、明確な料金、しかもキャッシュレス。さらに車内も通常のタクシーより清潔で運転手も親切(ここは不確定要素だが)。当地でのUber人気の理由がよくわかった。
(次ページでは、「デジタルでの優れた決済体験がおもてなし文化を凌駕する可能性」)

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