サンリオ、利益の9割は海外で稼ぐ V字回復支えた「ハローキティ」大転換=鳩山玲人常務は成功の影で何をしたか
2014年11月30日 16時00分更新
サンリオ取締役 鳩山玲人常務 写真:編集部
「ハローキティ」「キキララ」(リトルツインスターズ)などキャラクターで知られるサンリオは、決算資料を紐解けば、なんと営業利益の9割を海外で稼いでいるそうだ。知的財産シンポジウム「IP2.0シンポジウム」で27日、同社取締役の鳩山玲人常務が語った。
もともとは国内での女児向け玩具を中心とした物販事業がメインだったサンリオ。しかし物販は利益率が高くなく、2009年まで業績低迷が続いていた。しかしその後5年間で利益率の高い海外のライセンス事業に舵を切り、一気に利益率を延ばし、業績をV字回復させたのだという。
ポイントは看板商品「ハローキティ」のライセンス先をディーゼルやフォーエバー21など複数のアパレルブランドに振り向けたこと。レディ・ガガ、パリス・ヒルトン、アリアナ・グランデなど米セレブにファッションアイコンとして受け入れられ、女性向けのブランド商品に化けた。
サンリオは国内市場400億円規模の女児玩具産業で3〜4割のシェアをおさえているが、国内だけで9兆円近いアパレル産業を狙えば効率は上がる。
ハローキティの強みは、「四角いキティ」「ドクロマークのキティ」「なめこのキティ」など、いかに個性・特徴を消していっても最終的に「キャラクター」という枠で権利を確保できている点。世界で年間30〜40万点の商品を開発するため「権利管理はチャレンジング」(鳩山常務)だ。
たとえば「ミッフィー」のディック・ブルーナ、「スヌーピー」のシュルツなどは一切キャラクターの路線を変えさせなかった。一方でハローキティはロックバンドのKISSとコラボレーションしたりとやりたい放題にさせることで、アイコンとしてのブランド力を伸ばしていった。
年間10億円以上のリーガルコストを積んでいる「ハローキティ」はサンリオの重要な無形資産。いまや米国を代表する平均株価指数S&P500構成企業の資産は、8割が知財をはじめとする無形資産だと言われている。不動産のようにバランスシートには載らないが、知財はサンリオの事業分析になくてはならない存在となっている。
日本では固定資産をベースに企業資産を評価し、無形資産といえば「のれん代」が主だが、サンリオのような経営手法に照らせば、そうした考えは早々にあらためるべきなのだろう。
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