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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第33回

キーワードは“オリジナル振り付け”と“歌ってみた音源”

「踊ってみた」は人の声がお好き? 踊ってみた動画特集リターンズ

2014年09月11日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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「歌ってみた」「オリジナル振り付け」が増える「踊ってみた」

 近年の踊ってみた動画の傾向としては、「オリジナル振り付け」の増加と、歌いながらの踊ってみた動画の増加が挙げられます。

 ユーザーオリジナルの振り付けにつけるタグである「オリジナル振り付け」タグの比率は2011年頃から急増、また2014年にはニコニコ超会議3では「踊ってみた振り付け選手権」という企画が行われたこともあり、「踊ってみた」動画投稿数の3%・400件以上のオリジナル振り付け動画が投稿されました。一部の有力ユーザーだけでなく広く踊ってみたへの振り付けが行なわれている様子が伺えます。

 また自分の歌ってみた音源による踊ってみた動画(踊りながら歌うわけではない)は、歌ってみた投稿者の増加した2010年頃に大きく増えましたが、2014年にはさらに拡大しています。

 ちなみに、2014年投稿動画では4%近くの「踊ってみた」タグの動画に「歌ってみた」タグが付いていますが、2014年に関しては7月以降に特定の1ユーザーが「うたスキ動画」で歌って踊る動画を150件以上も投稿してることの影響が大きく、このユーザーを除外すると3%前後となります。増加傾向にはありますがグラフでは上記の影響が大きく出ている点ご注意ください。

 もっとも、「うたスキ動画」で「踊ってみた」動画を投稿しているユーザーは何人かいるようで、権利的にクリーンに商用楽曲を流しながら自分の全身が映った映像を投稿することができる点などは「踊ってみた」に向いた機能とも言えます。収録画質や後からの編集ができないなどもあり、あまり人気のある動画はないものの、手軽に踊ってみたが投稿できる点では便利なサービスかもしれません。

2014年9月上旬時点で視聴可能な「踊ってみた」動画について、各年毎の「歌ってみた」「オリジナル振り付け」タグ動画の比率をグラフにしたもの。2014年の「歌ってみた」の比率については本文のとおり実態より高めに出ていると思われる

前回の記事でも紹介した「ようかい体操第一」を歌い手の「タイ焼き屋」が歌って踊った動画。オケは原曲ではなく前回紹介したリンレン版のアレンジを使用している。

「踊ってみた」タグはニコ動のn次創作をつなげていく

 1年ぶりに踊ってみたの投稿のデータを見てみましたが、大きな傾向としては前回紹介した頃と変わっていないようです。踊る曲ではボカロ曲が多いものの、ニコニコインディーズからのヒットも続いています。

 2014年はボカロ曲の「恋空予報」の投稿が増えていますが、その本家に相当する動画では歌ってみたがよく使われていました。ニコニコインディーズ人気とも合わせて考えると、踊ってみたではボカロの声より人の声が好んで使用される傾向が伺われます

 やはり画面上で人間が踊っているのに対してボカロの声が流れるのを違和感として感じることが多いのかもしれません。「踊ってみた」内での「歌ってみた」動画が増加しているのも、同様の理由が伺われます。

 ボカロ曲の「歌ってみた」動画が「踊ってみた」動画で素材として需要がある状況は、ニコ動における「n次創作」を考える上で興味深いところです。また「Girls(EasyPop)」「Lamb.」に見えるように、「踊ってみた」から「MikuMikuDance」へ派生作品が広がっていく流れも定着しています

 また「オリジナル振り付け」は、新たなボカロ曲等に踊ってみたとのつながりを作っていく機能を果たしており、「オリジナル振り付け」動画投稿の増加はこうした動きの加速が伺われます。

 「踊ってみた」は単独の動画ジャンルとしてだけでなく、他ジャンルとつながっていくn次創作的な側面からニコ動にとって重要なジャンルといえるでしょう。

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