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ノベル、レッドハット、カノニカル、ネットワンがそれぞれの強みをアピール

同じ「OpenStack」でもこんなに違う!4社がプレゼンバトル

2014年09月03日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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設計/構築から運用までフルサポート!ネットワン「MetaCloud」

 最後に登壇したネットワンシステムズの山本浩司氏が紹介したのは「MetaCloud」だ。開発元の米メタクラウド社は、ヤフー!やチケットマスターといった大規模Webサービスを運営していたメンバーが参加して2011年に設立された新興企業である。

 「『構築が複雑で難しい』『新機能が次々に追加される』『オペレーションが大変』など、OpenStackには幾つもの課題がある。そのため、国内外でOpenStackを活用する企業では、スキルを持ったOpenStack専門エンジニアを10名以上抱えているケースも珍しくない。これでは、いくら“オープン”であっても(一般的な企業では)活用できない。こうした課題を解決しようというのがMetaCloud」(山本氏)

ネットワンシステムズ 経営企画本部 商品企画部 クラウドチーム 山本浩司氏

独自のOpenStackディストリビューション「Carbon OS」に、設計/構築/運用サービスを付加したサービス全体がMetaCloudである

 ここまで登場した他社製品とは異なり、MetaCloudはOpenStackディストリビューションの名前ではない。「Carbon OS」というOpenStackディストリビューションを提供し、それを利用してクラウド基盤を設計/構築/運用するサービス全体の名称である。

 顧客との打ち合わせに基づくキャパシティプランニングと設計、構築、インストール、運用開始後のリモート監視とメンテナンスなど、MetaCloudは「フルライフサイクル」のサポートを提供する。山本氏は、アセスメント期間を含め数週間でプロダクション環境が構築できると説明した。

MetaCloudは、システム設計から構築、インストール、さらにモニタリングやメンテナンスといった「フルライフサイクル」をサポートするのが特徴

 運用開始後は、各ノードにインストールされるモニターエージェントがメトリックデータを収集し、専門エンジニアが外部から24×365のモニタリングを行う。「何かおかしな振る舞いがあれば、障害発生前にプロアクティブな対処を行える。また、バージョンアップやパッチ当てなども、VPN経由でリモートから実施する」(山本氏)。

 MetaCloudの顧客には、エンターテインメント企業のウォルト・ディズニー・カンパニーや、映像配信プラットフォームのウーヤラ(Ooyala)などがある。これらの企業では、Webサービスの規模拡張に伴ってVMwareやAWSから乗り換えたことで、自社で専任エンジニアを抱えることなく大幅なコスト効率化に成功している。

 テクノロジーについても見ておこう。Carbon OSは、OpenStackがメジャーバージョンアップしてから3カ月以内に新バージョンをリリースする。ただし安定性を重視しており、不安定さの残る新機能については「無理して取り入れることはしない」(山本氏)。たとえば現行のCarbon OSは“Icehouse”ベースだが、ネットワーク機能については最新のneutronではなく、novaを機能拡張(VXLANサポートなど)したものを採用している。

 コントローラーは3ノードのHA構成となっており、障害発生時にもサービスを継続するほか「ダウンタイムなしで、リモートからのバージョンアップ作業も可能になっている」(山本氏)。またコンピュートノードでは、プロジェクト/テナントごとにネットワークやリソースを隔離する機能を備える。ダッシュボードにも独自のUIを提供している。

Carbon OSのコンピュートアーキテクチャの特徴

 「顧客のデータセンター、ハードウェアで、経験豊富なクラウドエンジニアが開発した製品を、24×365のサポートを受けながら利用できる。しかも優れた経済性を備えている。ビジネス変革のスピードについていける、アジャイルなサービスプラットフォームを提供する」(山本氏)

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