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オープンイノベーティブな技術でもっと手頃で運用も容易に

OpenStackとMidoNetでプライベートクラウドを再構築したKVH

2014年08月21日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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KVHの「KVH Private Cloud Type-S」は、OpenStackとMidoNet(ミドクラ)を採用した新しいタイプのプライベートクラウドサービスだ。KVH テクノロジー本部 執行役員 濱田義之氏に、新しいテクノロジーを投入した背景について聞いた。

オープンイノベーティブなプライベートクラウドへ

 KVH Private Cloud Type-Sはサーバー、ストレージ、レイヤー2ネットワークなどで構成された従来のプライベートクラウドに、ファイアウォール、ロードバランサー、レイヤー3ネットワークなどのNFV(Network Function Virtualization)機能を加えたサービスになる。クラウドプラットフォームとして、新たにOpenStackを採用。自社開発のTurbineコントローラーとVMwareをベースにした既存のプライベートクラウドよりも高いコスト効果、運用性や拡張性を実現するという。

既存のサービスと新しいKVH Private Cloud Type-S

 KVHは、ITサービスとネットワークサービスを真の意味で統合する情報プラットフォーム戦略を推進している。この戦略に沿って、KVHは「Blueplanet」というコントローラーを基軸とし、マルチベンダーでデータセンターを接続する「DCNet」を展開している。データセンター間をシームレスに結ぶDCNetがネットワークサービス側のアプローチなのに対し、KVH Private Cloud Type-SはITサービス側からのアプローチ。OpenStackのGUIからコンピュートやストレージ、ネットワークまでを一元的に制御するのが目的だ。

 OpenStackの採用に関しては、もはや説明は不要だろう。KVH テクノロジー本部 執行役員 濱田義之氏は、「すでに1万6000人近くが開発に貢献していますし、シスコやHPなどの大手ベンダーもコミットしている。KVHもこうしたオープンイノベーションにシフトしていく」と述べ、開発リソースの一部を独自のTurbineからOpenStackに移行することを表明している。特にTurbineの開発で培ってきたベアメタルプロビジョニングの技術は、現状のOpenStackでまだ未開発の部分で、積極的に取り込んでいく予定。こうしたイノベーションのスピードはもちろん、コスト面では既存のサービスに比べ、20~30%下げることが可能になり、ユーザーも大きなメリットが得られる。

KVH テクノロジー本部 執行役員 濱田義之氏

オーバーレイ型SDN「MidoNet」採用の背景

 とはいえ、OpenStackのネットワーク仮想化は開発中で、商用化での採用はまだ難しい。また、ネイティブのOpenFlowに関しても、現状は機器やソフトウェアの組み合わせがある程度限定されているため、候補から外したという。結果としてKVH Private Cloud Type-Sで採用したのは、ミドクラの「MidoNet」だ。

 MidoNetは世間でSDNという言葉が出てくる以前から、ネットワーク仮想化の機能をソフトウェアで実現している。汎用サーバーのハイパーバイザー上で動作する仮想スイッチ同士がトンネルを構築するオーバーレイ型SDNで、ユーザー自身が仮想ネットワークを構築できる。

 KVHでは、1年半くらい前から最新版のOpenStackでMidoNetを検証しており、高い性能と耐障害性が得られたという。濱田氏は、「MidoNetは負荷が集中しない分散型スイッチングを採用しているので、安定して動くのが採用の理由。あと、ミドクラ自身がプラグインを作ってくれたので、OpenStackから直接操作できる。あえてTurbineで両者を連携させる理由がなくなった」と語る。また、MidoNetで提供されるNFVの機能が豊富で、サービスとしての魅力が上がりやすいと考えたのも導入の背景だという。

 MidoNetを導入したのは、アプライアンスを仮想化したNFVの部分だ。濱田氏は、「せっかくコンピュートを仮想化したのにアプライアンスが必要では意味がない。そこで、ファイアウォール、ロードバランサー、レイヤ3スイッチなどをハコとして買わないという選択を可能にする」と語る。OpenStackのGUIから容易に操作でき、ラックのスペースも電力も節約でき、顧客にとってはいいことずくめだという。

OpenStackのGUIからMidoNetを直接操作できる

 今後はプライベートクラウドとパブリッククラウドを連携するフェデレーションを強化すると共に、レガシーな回線調達フローが必要なWANにまでSDNを拡張する予定。「クラウドはすでにダイナミックにリソースを調達できるのに、WANは調達に3ヶ月かかる世界。そのため、まずはオペレーションの迅速化やWANのオーケストレーション、次にクラウドとWANとの連携を進めることになる」と濱田氏は語る。

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