NECは8月27日、SDN(Software-Defined Network)事業についての強化戦略を発表した。新たにオーバーレイ方式のSDN製品や従来型ネットワーク機器にSDN機能を付加した「SDN Ready」製品などを投入するとともに、SDN専門エンジニアの育成、これまでのSDN導入実績を生かしたコンサルティングサービスの提供も行う。
OpenStack環境向けオーバーレイSDNなど新製品を投入
新製品の「UNIVERGE PF6700」は、オーバーレイ方式のSDNを提供する大規模データセンター向けソフトウェア群。OpenStackおよびKVMで構成されたクラウド基盤をターゲットとしている。外部ネットワークとのゲートウェイも備えており、既存のSDN化されていないサーバーファームとの相互接続も可能。
PF6700の販売/出荷開始は9月末の予定で、最小構成価格は505万円からとなっている(税抜、OpenStackを除いたソフトウェアのみの価格)。
また、企業向けL3スイッチの「UNIVERGE QXシリーズ」やWANルーターの「UNIVERGE IXシリーズ」において、SDN機能を搭載した「SDN Ready製品」の提供を開始する。従来のネットワークを維持しながら、必要に応じてSDNコントローラーを追加導入して、段階的にSDN化することが可能になる。
SDN ReadyのQXシリーズは同日より販売/出荷開始。価格は「QX-S5948GT-4X2Q」が178万円から、「QX-S5948XP-4Q」が368万円から、「QX-S5948XT-4Q」が390万円から。さらにQXの低価格モデルについても順次SDN対応していく方針。また、IXシリーズの販売開始時期や価格は近日公開予定。
「ネットワーク運用自動化ソリューション」は、「WebSAM Network Automation」を利用し、SDNと従来技術のネットワーク機器(スイッチやファイアウォールなど)の混在環境を統合運用可能にするソリューション。SDN/非SDNの監視や運用を統合、ネットワーク設計/設定を自動化することで、SDNへの移行途中も含むネットワークの管理負荷を軽減する。
ネットワーク運用自動化ソリューションの出荷開始は9月末で、価格は280万円から(ソフトウェアのみの価格)。
SDNコンサルティングサービスは、顧客の事業戦略などもふまえ、顧客にとって最適なタイミングでのSDN環境への切り替え支援を行うサービス。NECではこれまで200システム以上のSDN導入を手がけてきたが、その実績をユースケースとしてモデル化し、これに基づき提供する。具体的には「ネットワーク戦略の策定支援」「現状/課題分析支援」「実施ステップ策定支援」「RFP案策定支援」という4段階に分かれている。同日より提供を開始し、価格は100万円から(個別見積もり)となっている。
SDN専門エンジニア育成、SDN営業体制も強化方針
SDN事業強化のため、NECでは今回、従来のネットワークエンジニアに加えて、今年度中に新たに100名のSDN専門エンジニアを育成すると発表している。さらに、パートナーも含む営業職向けのSDN教育も拡大し、現在の800名から2015年には2000名の営業体制を敷く方針。
発表会に出席したNEC 執行役員の福田公彦氏は、「(2017年までに)ネットワーク市場全体の約3割が『SDN化』されると予測している」と述べ、SDNの世界市場は現在(2014年)の5000億円規模から2017年には4.7兆円規模まで成長するとの推計を示した。なお、NECのSDN関連売上は2013年度で約200億円で、2014年度はこれを500億円程度まで拡大することを目標としている。
また福田氏は、これまで国内/海外で200システム以上のSDN導入を手がけてきた結果、企業の経営課題に直結するさまざまな付加価値と、顧客のニーズが見えてきたと述べ、今回の発表製品/サービスではそれらを生かしたものであると説明した。