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アスキースマホ総研 第36回

4G? LTE? スマホのネットワークの仕組みがこれでわかる

2014年08月26日 11時00分更新

文● アスキースマホ総研

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プラチナバンドという言葉もよく聞くけど
一体、何がプラチナなの?

カリー ところでテレビCMなどでも、「プラチナバンド」という言葉をよく聞くのですが、これも通信規格かなんかなのですか? プラチナっぽい、すごい通信をしているとかなんとか。いやそもそも、プラチナじゃなくて、ゴールドバンドでもいいような。

当初積極的にプラチナバンドをアピールしていたのはソフトバンク。ただし、現状は帯域幅の問題で3Gのみで提供している

スピーディー ああ、実際にそういう言われ方をしていた時期もありましたね。

カリー ほらほら!

ドロイド 通信規格ではなく、周波数を表わす用語ですね。電波は周波数ごとに波長が異なるのですが、携帯で使われるものの場合、大体数十cmくらいです。

カリー 案外大きいんですね!

ドロイド で、この周波数ごとに電波の性質も違うんですよ。たとえば夜になると、地方のAMラジオ局の放送が受信できるようになるから、学生の頃に必死になってダイヤル合わせたりしなかった? 短波放送だと地球の裏側の放送局が聞けたりとか。

カリー ラジオはあんまり聞かなかったですね。ドロイドさんより、少しだけ世代が若いので。

ドロイド ……まあいいや。携帯の電波の場合は、700~900MHzの周波数は2.1GHzより波長が長いぶん、建物の影などにも回り込みやすかったり、遠くに飛びやすかったりして、キャリアにとっては利便性が高いんですよ。

2.1GHzとプラチナバンドとでは電波の特性が異なる

スピーディー つまり「携帯に適した電波=プラチナバンド」ということ。

カリー わかってきました! でも、その電波が全部目に見えたら、ニコ動のコメントみたいで面白そうですね。プラチナバンドの電波はさすがに地下街にも飛んで来ているよとか。

スピーディー 東京で携帯の電波が見えると、すごく鬱陶しそうだね……。

カリー じゃあ、どのキャリアもプラチナバンドだけで、基地局作ればいいじゃないですか!

ドロイド さっきも言ったように電波は有限で、いくらでも空きがあるわけじゃない。だから、割り当てられた周波数や海外の状況と合わせることなどを考えながら、各社うまくやりくりしてネットワークを構築しているんです。あとプラチナバンドも完璧じゃなくて、電波が飛びやすいぶん、周辺の基地局からの電波と干渉しやすいという要素もある。

スピーディー 特に都市部では基地局がすごく多いからね。

ドロイド なので各社とも、特に都市部では複数の周波数の電波を組み合わせて、繋がりにくい場所を無くしたり、たくさんのユーザーがいても快適に通信ができるようにしたりと努力しているんですよ。

各キャリアがどの通信規格・周波数で
ネットワークを提供しているかをおさらい

カリー なんとなく、携帯のネットワークの仕組みがわかってきました! 最大通信速度は通信規格と周波数の幅のかけ算で決まるということですね。それから周波数ごとに電波は特性が違う。プラチナバンドは電波が飛びやすい。でもユーザー数が多いと全体の速度は下がる。そうならないように異なる周波数のネットワークを組み合わせてエリア作りをしている。

ドロイド 大まかにはそんな理解でOKでしょう。

スピーディー じゃあ、ここからは実際のキャリアがどういう通信規格で、どういう周波数でサービスしているかを見ていこう。

  ドコモ au ソフトバンク 次期iPhone
Android iPhone
5s/5c
Android iPhone
5s/5c
Android iPhone
5s/5c
FD-
LTE
2.1GHz
(バンド1)

(人口カバー率90%)
○?
1.8GHz
(バンド3)
○(都市部中心) ○※1 ○?
1.5GHz
(バンド11)
○※2 ×
1.5GHz
(バンド21)
×
900MHz
(バンド8)
△※3 ○?
800MHz
(バンド18)

(人口カバー率99%)
○?
800MHz
(バンド19)
○?
TD-
LTE
2.5GHz
(バンド41)
○※4 × ○※5 ×

「○」は利用できる周波数。「◎」は利用でき、全国規模でエリアが構築されている周波数。「△」は端末は対応しているが、まだキャリアでの提供が始まっていない周波数。「×」はキャリアでは提供されているが、端末側が対応していない周波数。「―」はそもそもそのキャリアでは提供されていない周波数。

※1:ワイモバイル(旧イー・モバイル)のネットワークを利用
※2:2014年夏モデルでも非対応の端末がある。
※3:今夏以降のサービス開始を予定している。
※4:UQコミュニケーションズのネットワークを利用。
※5:WCPのネットワークを利用。

ドロイド 現在プラチナバンドの電波を用いて、全国規模でLTEを展開しているのはau「4G LTE」だけですね。auの800MHzのLTEは、人口カバー率ですでに99%を突破しているとのこと。

スピーディー この前気仙沼に旅行で行ったんだけど、その近くにある大島という島に渡っても普通にLTEでつながった。

濃いピンクがすでにau「4G LTE」がスタートしているエリア。地方であってもサービスエリアの大半がすでにLTE化されていることがわかる

カリー 他社もプラチナバンドでLTEの展開予定はないんですか?

ドロイド ドコモの800MHzは補完的な役割のようですね。ソフトバンクも間もなく900MHzでLTEをスタートするとのことでしたが、詳細はまだ発表されていません。

カリー 2.1GHzというのは3社ともサポートしているんですね。

ドロイド 2.1GHzは3G(W-CDMA)では世界的に最も広く使われている共通の周波数で、LTEでも同様です。ドコモとソフトバンクはこの2.1GHzを用いて、3GとLTEの両方で全国的にエリアを作っています。ドコモの1.8GHzは20MHz幅があるので、高速な基地局を都市部中心に用意してくるなど各社で特徴に違いがあります。

4つの周波数でXiを展開するドコモ。特に1.8GHz(ドコモは1.7GHzと呼ぶ)は都心部など人口密集地を中心に高速な基地局を展開しているようだ

スピーディー 当然どのキャリアもネットワークを継続的に増強してくるから、今後もまめに情報をチェックしていく必要がある。

カリー ところで、表の最後にあるTD-LTEってなんなのですか?

ドロイド LTEの一種です。一般的なLTEはFD-LTEとも言って、通信の上りと下りで別々の周波数を使っているのですが、TD-LTEは同じ周波数を時間を区切って、交互に通信をするのですよ。UQ「WiMAX 2.1」、WCP「AXGP」がこのTD-LTEと互換性のある通信規格で、サービス名はそれぞれ「WiMAX 2+」と「SoftBank 4G」ですね。auスマホで前者、ソフトバンクスマホで後者が対応しています。FD-LTEとTD-LTEの両対応スマホが今では一般的で、自動的に接続は切り替わるので、ユーザーが違いを意識する必要はありません。

auとソフトバンクのAndroidスマホはFD-LTEとTD-LTEの両方に対応し、また自動的に切り替わるので、ユーザーは特にどちらにつないでいるかなどは考える必要が無い

スピーディー でも、今注目されているのは、次期iPhoneがTD-LTEに対応する可能性が高い点。

カリー 前回の次期iPhone予想でも出てきた話ですね!

ドロイド 単純に通信速度が速くなるという部分より、iPhoneで使える周波数がさらに増えることが大きいんですよ。もしau版やソフトバンク版の次期iPhoneが、本当に対応するのなら、都心部のような混雑している場所で使っているユーザーにとっては快適になることが期待できます。


(次ページでは、「新しい通信規格や周波数はどのスマホで使える?」)

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