無償でW杯が見られる小米製STBも人気
ところで、昔から定番の電脳街「深水ポ」(ポは土へんに歩)では、小米製品に大きな注目が集まっていた。
といっても、同社のスマートフォンではなく、セットトップボックス「小米盒子」のほうだ。小米盒子は香港向けは未発売で、売られているのは中国向けの製品となるのだが人気は高い。深水ポの電脳ビルの中は狭い通路が入り組んでいるが、小米盒子の実演販売を行なう店には多くのギャラリーが集まる。
人気の秘密は中国向けコンテンツ。香港人が中国の番組なんて見たいのかというと、これがちゃんと価値がある。実はサッカーW杯の試合を中国では無料で配信しているのに対し、香港では試合を見るにはお金がかかり、多くの試合を見るなら小米盒子を買った方が安く上がるため、飛ぶように売れているのだ。
香港のネットからは直接利用できないため、VPNで中国からアクセスするように設定された改造版小米盒子が売られている。
この事態に対し、香港メディアは著作権問題が発生しているとして、問題提起を行なっている。まだ取り締まりなどはなく、小米の香港サイトからのコメントもない。
中国のインターネット企業の海外進出では、何かとグレーゾーンの行為を実際に取り締まられるまで行ない、その間に売上を伸ばし、認知度を上げるという手法がよく取られるので、これも小米の仕掛けのような気がしてならない。
同社が多国展開する際には、なりふり構わぬ現地ニーズへの販売が行なわれそうだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)。
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