中国で人気スマホメーカーとなった小米(Xiaomi、シャオミ)。一言でいえば、今までの中国携帯電話メーカーは「ラインアップを拡充して数撃ちゃ当たる」戦略が常識だった中、Appleのような「コストパフォーマンスに優れた1機種に注力」戦略をうち、コンスタントに「ネット限定数量希少特別価格提供」の魅力的な広告を出して、話題を絶やさず、大成長を遂げたファブレスのメーカーである。
同社の発表によれば、今年の第1四半期は1100万台を出荷。2月には同社のスマートフォンの2代柱であるハイエンドの「小米3」(Mi 3)と低価格な「紅米」(Red Mi)が、月間で世界で売れたスマホベスト10に入った(Counterpoint Technology Market Research調べ)。
4月には中国キャリア「中国移動」(China Mobile)での新規端末登録数で小米の製品がもっとも多かったという。
スマートフォンだけでなく、同社はセットトップボックスやスマートテレビ、ルーターも積極展開。同社によれば今年は6000万台の出荷を見込み、来年には1億台超を目指すという。
同社は中国本土外にも進出する。すでに香港や台湾、マレーシア、シンガポールで売り出したが、さらにインドやフィリピン、インドネシアでも販売を行なう。各国向けのFacebookページを用意したり、元GoogleのAndroidのプロダクトマネージャーで現小米のHugo Barra氏が各国でアピールを行なったりと、プロモーション活動が目立つ。
すでに発売したという香港の様子はどうなのかを知りたくなり、見に行ってみた。
香港で存在感を高める小米のスマホ
香港でも小米はオンライン販売がメインで、一部のキャリアショップなどでは購入できるものの、多くの家電量販店で小米を見ることはなかった。リアルショップでは、サムスン、ソニーモバイル、ノキア、HTC、ASUS、LGといったおなじみのブランドのスマートフォンが並ぶ。
このあたりは「百老匯 broadway」(http://www.broadway.com.hk/ )や「衛訊WILSON」(http://www.wilsoncomm.com.hk/product.aspx)や「蘇寧電器(香港)」(http://www.cnsuning.com.hk/)などのショップのページで見れば、その様子はなんとなくつかめるだろう。
香港市場ではこれら定番メーカーが並ぶ中で、小米が入ってきたため、香港の著名掲示板サイトのスマートフォン掲示板においては、小米の話題が多く挙がっており、一部のマニアの間で関心があることがうかがえる。
それ以前も、中国本土と隣り合っていることから、中国向けの小米ユーザーの討論は少しあったが、ここ数ヵ月で一気に増えた。
購入の相談のほか、買ったら早速故障したという声も(中国でも故障率が高いというイメージがあった)。中国でホットなスマートフォンだけに、ニセモノも出回っており、それが本土だけでなく香港にも流入したそうで、ニセモノを掴まされた人の報告もある。
小米の製品については、香港で正規販売前から情報が積み重なってきたが、その上で「安いスマートフォンかつ新しいブランドの製品を興味本位で買いたければ」という意見が目立つ。
香港のニュースメディアの報道によると、特に20代の人が小米の商法に引き寄せされ購入しているという。小米が中国で成功を収めた「数量限定発売」方式で購入意欲をそそらせるやり方は香港でも通用するようだ。
ともなれば、香港においてもしばらく中国同様の商法で少しずつユーザーを増やし、彼らをアンテナとして口コミでさらに売れていきそうだ。
(次ページに続く、「無償でW杯が見られる小米製STBも人気」)

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