「安兎兎(AnTuTu)」という(中国製ながら)知る人ぞ知るスマートフォン向けベンチマークアプリがある。
安兎兎のアプリには、ベンチマークのほか「そのスマホが本物かどうかをベンチマークのデータからチェックする」という機能があり、ニセモノが氾濫する中国では、かゆい所に手が届くアプリとして評価されている。
そんな安兎兎が、ニセモノチェック機能の利用実態についてまとめた調査研究「2014年第三季度山寨手机数据報告」を発表した。
今年7月から9月にかけて、ユーザーがチェックしたスマートフォンの台数は約429万台で、うち376万(87.6%)が本物、53万(12.4%)がニセモノと判明している。カオスなことに53万という数字だが、前の3ヵ月に比べておよそ1.5倍増だ。
「このスマホはひょっとしてニセモノではないか」という疑惑から安兎兎をインストールし、チェックした人も多いだろうから、必ずしも「中国で売られるうちの12%がニセモノ」とは解釈できない。
ニセモノ上位10機種のうち半数が小米の製品
機種別では、最もニセモノが多かったのは、1位が小米(シャオミ)の「紅米Note」だ。2位以下にも、10位以内に「小米3」や「紅米1S」など4機種がランクインし、実に最もニセモノが多い10機種のうちの半数が小米であるということが判明した。
小米に続くのがサムスンで4機種、あと1機種はファーウェイの「栄耀3X」である。ちなみにファーウェイの栄耀3Xは、値段的にも性能的にも、小米のエントリーモデル「紅米」以上、フラッグシップモデル「小米」以下を狙ったもので、ニセモノの多さからいっても人気は高い。
小米は今年の4月から6月にかけての四半期で中国市場でトップに、7月から9月にかけての四半期で世界市場でシェア3位にまであがった。
小米は中国国外でも展開しているが、この記録的な数字はほとんどが中国一国だけで稼いだものだ。小米は知る人ぞ知るメーカーだったころは、ネットで数量限定販売を行なっていたが、有名になってからは(むしろ有名になったので)、家電量販店やケータイショップなどどこでも取り扱うようになっている。だがそこにニセモノが紛れ込むようになった。
ニセモノの山寨機(ノンブランド製品)といえば、iPhoneのニセモノが話題になりがちだが、小米もニセモノの被害にあっているのだ。国際的なサムスンのニセモノよりも、小米のほうがニセモノが多いということは、中国のニセモノメーカーは、同胞である中国人をターゲットにしているというわけだ。
中国にスマートフォンユーザーは5億いるといわれ、中国市場では4半期で約1億台のスマートフォンが出荷されている。このデータからも、また筆者の周辺を見ても、スマートフォンを買い替える人が、メインの購入者となっている。
(次ページに続く、「山寨機メーカーのクオリティー向上がハンパない!」)
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